22.児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(H30年-第31回)
問題136 医療型障害児入所施設に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 医療法に規定する病院として必要な設備を設けることとなっている。
2 環境上の理由により社会生活への適応が困難になった児童が入所対象である。
3 児童の遊びを指導する者を配置しなければならない。
4 障害児入所給付費に関する事務は市町村が行っている。
5 虐待を受けた児童ではないことが入所の要件となっている。
医療型障害児入所施設という用語から、医療が必要であること、障害児のためのものであること、入所系のサービスであることはわかる。これをヒントに問題を解く。
1は、医療型であることから、十分に考えられる帰結である。〇ぽい。2は、「環境上の理由により~」が「医療型」とマッチしない。×ぽい。3は医療型なので、遊ぶことも難しい場合が考えられる。よって、児童の遊びを指導する者を必置とする必要性はないと考えられるので、×ぽい。4は知識がないと判断できない。ただ、直前対策講座を受講してくれた受講生は、ヤマがはられていた箇所であることを伝えていたので、自信をもって×とできたであろう。4は都道府県が行っているので×である。5は、医療が必要な障碍児であれば、虐待を受けたかどうかは関係ないと考えるのが素直である。×ぽい。
【正解1】
問題137 X保育園に転園して間もないGちゃん( 5 歳)は,父親が迎えに来るとおびえた表情をする。母親の顔にはあざができていることもあった。今朝,Gちゃんを送ってきた母親の顔は腫れており,保育士が声を掛けると避けて,すぐに帰ってしまった。お昼寝の時間になり,Gちゃんは保育士の耳元で,昨夜,父親が母親を激しく殴ったことを打ち明けた。Gちゃんが寝た後,保育士はこのことを園長に報告した。
次の記述のうち,保育所の初動対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 職員会議を開いて全職員にこのことを伝え,意見を聞いて対応を検討する。
2 園長から児童相談所に通告する。
3 母親が迎えに来たら,詳しい状況を聞くことにする。
4 Gちゃんの家庭の様子を,近隣に住んでいる他の園児の保護者に聞く。
5 父親と連絡を取り,Gちゃんの話を伝え,状況を尋ねる。
この問題を解いた瞬間、「あれっ」と思った人もいたのではないだろうか。よく似た問題をさっき解いた気がする、と。問135と本問の構造はすごく似ている。そして、両方の問題の肢の中にそっくりな対応がある。
1は、いい感じ。2は、「父親が母親を激しく殴ったこと」が問題なので、児童相談所への通告でいいのかとも感じるが、父親の母親に対する虐待は、児童虐待に該当する(ここは結構大事である-テキストで確認)。本問の事例を読むと、父親が母親に虐待を行っている可能性は高く、繰り返される危険性も高い。しかも、母親からは直接的なSOSは出ていない。「園長から児童相談所に通告する」という対応は適切である。3は、よさそうだが、肢1との比較ではやや劣る感じがする。4は、初動対応としては軽率な感じである。5は、肢4以上に軽率であろう。×ぽい。ここまで読むと1と2の比較である。
【正解2】
問題138 母子及び父子並びに寡婦福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体は,母子家庭・父子家庭が民間の住宅に入居するに際して,家賃の補助等の特別の配慮をしなければならない。
2 この法律にいう児童とは,18 歳に満たない者をいう。
3 この法律にいう寡婦とは,配偶者と死別した女子であって,児童を扶養した経験のないものをいう。
4 都道府県は,児童を監護しない親の扶養義務を履行させるために,養育費の徴収を代行することができる。
5 都道府県は,母子家庭の母親が事業を開始・継続するのに必要な資金を貸し付けることができる。
他科目の知識や過去問学習がヒントになる問題。頭を柔軟にして焦らず考えよう。
1のような家賃補助制度は存在しないので×。現代社会と福祉で類似の問題がある(過去問㉚-30)。2は、自信がなければ△。3の寡婦とは未亡人だが、「児童を扶養した経験のないもの」という限定はいらない気がする。×ぽい。4のような養育費の徴収の代行制度があれば、きっと目にしているはずである。これからはわからないが、少なくとも現在はないと思われるので×かな。5のような制度はあってもよさそうである。ただし、知らないと自信が持てない。△とする。
【正解5】
問題139 次の説明文に該当するものとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。
コミュニティを基盤にしたソーシャルワークの機能を担い,すべての子どもとその家庭及び妊産婦等を対象として,その福祉に関し必要な支援に係る業務全般を行う。
また,その支援に当たっては,子どもの自立を保障する観点から,妊娠期(胎児期)から子どもの社会的自立に至るまでの包括的・継続的な支援に努める。
さらに,児童福祉法等の一部を改正する法律(2016 年(平成28 年))を踏まえ,要支援児童若しくは要保護児童及びその家庭又は特定妊婦等を対象とした,要支援児童及び要保護児童等並びに特定妊婦等への支援業務について強化を図る。
1 児童家庭支援センター
2 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)
3 市区町村子ども家庭総合支援拠点
4 地域子育て支援拠点事業
5 要保護児童対策地域協議会
これは知らないと難しい。対象、支援、時期も含めた法改正後の変更点から、もっともよさそうなネーミングのものを選ぶ。
1は、古い感じなので×。2は、健康とあるので、幼児に関する母子支援がイメージされる。×ぽい。3は、いい感じ。△。4もいい感じ。△。5は、説明文のなかでも、「すべての子供とその家庭及び妊産婦等を対象として」となっているので、要保護児童のみに焦点をあてるネーミングの5は×ぽい。
【正解3】
問題140 民法の規定に基づいて,養親となる者の請求により特別養子縁組を成立させることができる組織・機関の名称として,正しいものを1 つ選びなさい。
1 法務省
2 児童相談所
3 福祉事務所
4 家庭裁判所
5 地方検察庁
知っていれば苦もなく正解を選べる。
もし、知らなくても違っていそうなものを除いていけば、おそらく正解できる。消去法で解く。
ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
特別養子縁組とは
養親の条件:配偶者のある者(単独 不可)で、夫婦の一人が25歳以上。
実父母の同意:必要。特別養子縁組成立により、実父母との関係は終了する。
その他:6ヶ月の試験養育期間と家庭裁判所による審判が必要。離縁は原則できない。
【正解4】
問題141 事例を読んで,Hちゃんが利用するサービスとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Hちゃん( 3 歳)が交通事故に遭い,下肢に障害を有する状態となった。退院するに当たり,医療相談室のソーシャルワーカーが家族面接を行い,肢体不自由のある子どものリハビリテーションに対応したサービスを利用していくことが確認された。
1 養育支援訪問事業
2 放課後等デイサービス
3 児童自立生活援助事業
4 養育医療
5 医療型児童発達支援
各選択肢のサービスの特徴を知っていれば正解を選べる。
相談援助の基盤と専門職で出題される事例の傾向によく似ていると感じた。事例問題には幾つかの特徴がある。こうした出題の特徴を知っていると事例問題の勉強が少しやりやすくなるだろう。ちなみに、直前対策講座では、事例問題対策も取り上げている。
養育支援訪問事業 | 養育支援が特に必要であると判断した家庭に対し、保健師・助産師・保育士等がその居宅を訪問し、養育に関する指導、助言等を行う事業。 |
放課後等デイサービス | 障害のある学齢期児童が学校の授業終了後や学校休業日に通う、療育機能・居場所機能を備えた福祉サービス。 |
児童自立生活援助事業 | 義務教育終了後、児童養護施設等を退所し、就職する児童等の社会的自立を促進する事業。 |
養育医療 | 身体の発育が未熟なまま生まれ、入院養育を必要とする満1歳未満のお子様が指定養育医療機関において養育医療を受ける場合に、医療費の一部を給付する制度。 |
医療型児童発達支援 | 障害のある児童を通所させて、日常生活の基本的動作の指導や、知識や技能の付与等の訓練を行うことと併せて、治療を行う。 |
【正解5】
問題142 「平成28 年度福祉行政報告例」(厚生労働省)における児童相談所の相談に関する統計の説明のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 児童相談所が対応した児童虐待相談件数は,10 万件を超えている。
2 児童相談所が対応した虐待相談を虐待種別でみると,身体的虐待が最も多い。
3 児童相談所が対応した相談のうち,児童福祉法に基づく入所措置をとったものは3 割程度である。
4 児童相談所が受け付けた相談の相談経路は,学校が最も多い。
5 児童相談所が受け付けた障害相談の内訳でみると,肢体不自由相談が最も多い。
知識がないと分からない。未チェックだった場合は、一般常識で推測しよう。