21.精神保健の課題と支援(R2年-第23回)2/2

問題16 アルコール健康障害対策基本法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 酒に酔っている者の行為を規制し、又は救護を要する酩酊者を保護する等の措置を講ずることによって、過度の飲酒の害悪を防止することを目的としている。
2 重度アルコール依存症入院医療管理加算の施設基準を定めている。
3 アルコール健康障害に関連して生じる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題をアルコール関連問題としている。
4 都道府県及び市町村に対し、アルコール健康障害対策推進基本計画の策定義務を規定している。
5 アルコールの輸入、輸出、製造、譲渡に関する規定がある。
 
法律の内容を把握していなければ、推論で解くしかない。
 
1は、×である。肢の内容は治安維持の側面が強い感じがするものであり、アルコール健康障害対策基本法という法律の内容としてはいま一であると感じて欲しい。
2は、×である。重度アルコール依存症入院医療管理加算の施設基準のような細かい規定が基本法に含まれることはまずない
3は、〇である。アルコール健康障害対策基本法という名称からして、アルコール健康障害に関連して生じる種々の問題をアルコール関連問題として広く把握することは十分に考えられる。
4は、推論に頼って判断できない。ポイントになるのは、設問のような基本計画の策定を義務とすることが妥当か否かにある。こうした計画の策定は重要ではあるものの、義務としてしまうと都道府県と市町村の負担が増す。基本計画の内容によっては義務としなければならないものもあるが、アルコール健康障害対策推進基本計画については努力義務に留めてもよいようにも感じる。知らなければ△にして次に進む。
※こうした思考プロセスには不十分な点がある。しかし、知らなければ、自分なりに考えて、比較して、解くほかない。
5は、×である。アルコールの輸入、輸出、製造、譲渡に関する規定は、行政による取り締まりとしての意図が感じられアルコール健康障害対策基本法に定めるような内容としては不適切であろう。

【正解3】

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
肢4についての補足説明
法文上努力義務になっている(法14条1項)。
また、努力義務が課されているのは、都道府県のみで市町村は対象になっていない。

 

問題17 次のうち、自殺対策におけるポストベンションの活動として、適切なものを1つ選びなさい。
1 自殺で亡くなった中学生の同級生に対して実施される心のケア
2 自殺対策強化月間におけるインターネットを活用した支援窓口の広報
3 救命救急センターに搬送された自殺未遂者に対するフォローアップ支援
4 地域住民に対するうつ病予防のための講演会
5 希死念慮を有する者を対象とした電話による相談
 
ここでは、不幸にして自殺が生じてしまった場合に、 遺された人々に及ぼす心理的影響を可能な限り少なくするための対策を指している。
ポストベンションの意味を知っていれば比較的簡単に解ける。

【正解1】

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問に関する補足解説
もし、ポストベンションの意味がわからなかったとしたら、分類法によるアプローチが考えられる。
選択肢を読むと、2,4,5が予防的アプローチであることに気づく。正解は1つなので、それらは違うと推測できる(※なお、事前の対応をプリベンションという)。そして、残る1と3のうち、本問のポストベンションという用語により合っていそうなものを選ぶのである。この場合、やはりポストの意味がわかると、1を選びやすい。
ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
「ポスト」は「~以後という意味を持つ。
ベンションはややわかりづらいが、インターベンション(介入)は多くの人が知っているであろう。ポストベンション(postvention)は、事後対応といった意味である。

 

問題18 次のうち、女性よりも男性に多く認められるメンタルヘルスの問題として、正しいものを1つ選びなさい。
1 うつ病
2 抜毛症
3 自閉スペクトラム症
4 転換性障害
5 選択性鍼黙
 
本問は知らないと解くのが困難である。
ただ、自閉スペクトラム症が男児に多いことは、受験生であれば知っていて欲しい。
※この事実は、一般常識としても比較的ポピュラーな知識ではないだろうか。

【正解3】

問題19 次のうち、「精神保健福祉法」に規定されている精神保健福祉センターの業務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健指定医の指定
2 精神保健審判員の任命
3 精神科病院入院患者の退院請求の審査
4 精神医療審査会の事務
5 自立支援医療(精神通院医療)の申請受付
(注) 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことで ある。
 
選択肢に書かれている業務の内容について想像しながら、それが精神保健福祉センターの業務にふさわしいものかどうかを判断する。
 
1は、×である。精神保健指定を指定するのは厚生労働大臣である(精神保健福祉法18条1項)。専門医の選別にかかるものであり、精神保健福祉センターの業務にはふさわしくない。
2は、×である。精神保健審判員を任命するのは、地方裁判所である(心身喪失者等医療観察法6条1項)。精神保健審判員は心身喪失者等医療観察法に規定されているものだが、その業務内容からして司法の一環を担うものである。
3は、×である。精神科病院入院患者の退院請求は都道府県知事に対して行われる(精神保健福祉法38条の4)。この退院請求の審査は、都道府県知事の求めにより精神医療審査会が行う(同法38条の5)。
4は、〇である。精神医療審査会の事務であれば、精神保健福祉センターが行っても特に問題はないと考えられる(精神保健福祉法6条2項3号)。
5は、×である。自立支援医療(精神通院医療)は、障害者総合支援法に規定された給付の一つである。従って、申請の受付を行うのは市町村である(障害者総合支援法53条1項参照)。

【正解4】

問題20  WHOによるメンタルヘルスアクションプラン2013 – 2020に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 国際疾病分類(ICD)の改訂を目標とした。
2 アルマ・アタ宣言とも呼ばれている。
3 「メンタルヘルスなしに健康なし」を原則としている。
4 精神疾患を有する者の非自発的な入院をなくすことが目標に定められた。
5 中低所得国における精神保健サービスの拡充を主たる目的としている。
 
本問は、WHOが比較的最近定めたメンタルヘルスアクションプラン2013 – 2020について聞くものである。
知らなくてもすぎに諦めてはいけない。「WHOによるメンタルヘルスアクションプラン2013 – 2020」としてもっともよさそうなものはどれかという観点から、よさそうなものを選べばよい。
 
1は、×である。国際疾病分類(ICD)はWHOが定めたものであり、当該アクションプランがその改定を目標としたものなら、大きな話題になると思われるからである(そのような話は聞いたことがない)。
2は、×である。アルマ・アタ宣言は、1978年にWHOが提唱したプライマリー・ヘルス・ケアに関する宣言である。
3は、〇である。メンタルヘルスアクションプランという名称にも合っている。
4は、×である。精神疾患を有する者の非自発的な入院をなくすことはもちろんよいことだが、それが最近になって特に重要になったというのはおかしい(もっと前から問題とされるべきことである)。
また、完全になくこともできないだろうし、任意の入院ならば増えてもよいというわけではあるまい。いずれにせよ、メンタルヘルスアクションプランに目標として盛り込まれたとは考えにくい。
5は、×である。WHOは世界保健機関なので、中低所得国における精神保健サービスの拡充を主たる目的としたプランを作るのはいまいちしっくりこない。

【正解3】