20.保健医療サービスの知識等(R元年3月-第22回)2/4
問題31 検査について,より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 ヘモグロビンA1cの値は,過去1〜2か月の血糖レベルを反映している。
2大動脈疾患や進行した動脈硬化の場合は,左右の上肢で血圧に差がみられることがある。
3 ノロウイルス感染症では.下痢などの症状がなくなれば,感染力もなくなる。
4 CRP(C反応性たんぱく質)は,感染症以外に,悪性腫瘍や膠原病でも高値になる。
5 24時間心電図(ホルター心電図)検査は,医療者による継続的な観察が必要なため,入院して実施しなければならない。
病院や施設に勤務している人にとっては、簡単な問題だったと思われる。
1は、〇である。「ヘモグロビン・エー・ワン・シー」と読む。2は〇である。悩んだら文末の「~ことがある」で判断してもよかったであろう。3は下痢などの症状がなくなっても、体内にはまだノロウイルスが残っている場合がある(体内でのろのろしている)。×である。4は〇である。5は×である。入院しなくてもよい。
1と2はH29 -問26、3はH27-問26、4はR1-問37、H28-問5、5はH25-問27で出題されている。
【正解1,2,4】
問題32 薬剤に関する次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。
1バーキンソン病の治療薬であるドーパミン製剤は,服用を突然中止すると,高熱,意識障害,著しい筋固縮などを呈する悪性症候群を生じる恐れがある。
2 高齢者は腎機能が低下しているため,薬の副作用が減弱することが多い。
3 胃ろうから薬剤を注入する際には,それぞれの薬剤について,錠剤を粉砕したり,微温湯で溶解させたりしてよいか,確認する必要がある。
4 口腔内で溶けるOD( Or al Disintegrant)錠は,口腔粘膜からそのまま吸収される薬剤である。
5 症状が消失すると内服を自己判断でやめてしまう場合があるため,内服状況を確認する必要がある。
知識がなくても解けるようにしたい問題である。
1は〇である。内容的によさそうだと感じられるのではないだろうか。2は×である。「腎機能が低下」していれば、薬の副作用は増強すると推論して欲しい。3は〇である。これも適切だと推論しやすい。4は悩む。5は〇である。これも正しいと推論しやすい。
1は平27-問41にある。2は平25-問39にあるが、その問題を知らなくても×だと判断できるであろう。3も平26-問44にあるが、知らなくても判断しやすい。4は知らないと判断に迷うが、平28-問37でズバリの出題がある。5は平25-問39以後の出題実績がないが、正しいと判断しやすい。
【正解1,3,5】
問題33 次の記述について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 胃ろうがある場合には,原則として,入浴は禁止されている。
2 終末期においては,嚥下機能が低下して肺炎を起こしやすいので,口腔ケアは行わない。
3 膀胱留置カテーテル使用中は,尿路感染を予防するため,毎日膀胱洗浄を行う。
4 糖尿病の内服治療をしている者では,インスリン注射をしていなくても,低血糖の症状に留意する必要がある。
5 認知症治療薬には,錠剤以外にも経皮吸収型などがあり,経口内服が困難な高齢者でも使用が可能である。
概ね、常識問題である。
1は×である。胃ろうがあっても入浴は禁止されない。2は×。終末期でも口腔ケアを行う。3は×。膀胱留置カテーテルの人は、膀胱洗浄は原則として行わない。4は〇である。糖尿病薬にはインスリン注射と同じ働きをするものが多いので、低血糖に注意する必要がある。5は〇である。経皮吸収型というのは貼るタイプのものである。イクセロンパッチが有名である。
1はH27-問31で出ている。2はH27-問23で出ているが、常識的に考えておかしいと判断したいところである。終末期ケア(ターミナルケア)を受けているのに口の中が汚いままだったら嫌ではないだろうか。3はH24 -問35で、4はH25-問36で、5はH24-問31で出題されている。
【正解4,5】
問題34 在宅医療について正しいものはどれか。2つ選べ。
1インスリンの自己注射の効果は,体調不良時(シックデイ)には強く出ることもある。
2悪性腫瘍の疼痛管理のための麻薬の投与経路には,経口,経皮,経腸,注射がある。
3人工透析を行っている場合には,シャント側で血圧測定を行う。
4侵襲的陽圧換気法(IPPV)による人工呼吸は,マスクを装着して行われる。
5酸素マスクによる在宅酸素療法は,鼻カニューレによるものに比べて,食事や会話がしやすいのが特徴である。
医学用語が出てきて難しく感じるが、常識力と推論で答えは出せる。この解説を参考に、解き方を覚えて欲しい。
1は〇である。迷ったら文末の「~こともある」も決め手にする。2は〇である。麻薬はいろいろな経路で体に効き目を及ぼすということである。3は×である。シャント側で血圧測定は行わない(シャントはしゃんとしていないといけない)。4は×である。知識としてなくても、侵襲的というのだから、マスクの装着ではないだろうと推論できる。5は×である。酸素マスクよりも、鼻カニューレの方が食事や会話をしやすいというのも推論しやすい。
1はH30-問37で、3はH29-問36で、5はH29-問37で出題されている。2と4は過去10年以内には出題されていないが、落ち着いて考えれば正誤は判断しやすい。
【正解1,2】
問題35 次の記述について適切なものはどれか。3つ選べ。
1自己腹膜灌流法(CAPD)による人工透析は,血液透析に比べて,通院回数が少なくて済む。
2.終末期にある者には,効果が期待できないため,リハビリテーションは実施されない。
3気管切開をしている場合でも,スピーチカニューレの使用により発声は可能である。
4慢性閉塞性肺疾患 (COPD)により呼吸機能が低下している場合でも,インフルエンザワクチンの接種は推奨される。
5在宅酸素療法は,入院しなければ導入できない。
すべての選択肢の理解がなくても答えは出せる。
1は知らないと判断しづらい。2は、終末期にあってもリハビリテーションは実施されるので(嚥下障害の人の嚥下訓練、拘縮予防の関節可動域運動など)×である。3は何となく〇ぽいが、自信がなければ△にして次に進む。4は〇だが、自信がなければ次に進む。5の在宅酸素療法は入院しなくても導入できるので、×である。2と5の×は分かりやすいので消去法で正解を導ける。
1はH25-問34で、2はH24-問34で、3はH22-問34で、4はH25-問36で、5はH26-問30で出題されている。