20.こころとからだのしくみ(R元年-第32回)2/2
問題 103 J さ ん(80 歳, 男 性 )は, ア ル ツ ハ イ マ ー 型 認 知 症(dementia of theAlzheimerʼs type)と診断され,半年前から認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。最近,Jさんは,トイレに行きたいと言ってグループホーム内を歩き回った後に,失禁するようになった。
Jさんの排泄の状態として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 反射性尿失禁
2 心因性頻尿
3 溢流性尿失禁
4 機能性尿失禁
5 腹圧性尿失禁
頻出の尿失禁です。
区別が分かり難いのですが、なんとか覚えましょう。
1:反射性尿失禁とは、反射的な尿失禁です。何の兆候も、尿意もなく尿が漏れるような感じです。
2:心因性頻尿は、膀胱などの異常からくるものではなく、精神的な問題からの頻尿です。
3:溢流性尿失禁とは、排尿筋の収縮力か弱まるか下部尿路閉塞のどちらか、あるいは両方を原因とします。
4:適切な記述。基本的には、何らかの要因でトイレが間に合わないということです。
5:腹圧性尿失禁とは、咳やくしゃみ、笑う、運動など腹圧上昇時に尿が漏れ出てしまう尿失禁です。
【正解4】
問題 104 正常な尿に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 1 日に約 1 g のたんぱく質が排出される。
2 1 日に約 10 g のブドウ糖が排出される。
3 排尿直後はアンモニア臭がする。
4 排尿直後はアルカリ性である。
5 排尿直後は淡黄色で透明である。
医学的な知識が必要な問題です。
1:1日に約 1 g のたんぱく質は多めです。
2:一般的には、1 日のブドウ糖の量は30~130mgぐらいと言われています。
3:排尿直後にはアンモニア臭はしません。
4:弱酸性です。
5:適切な記述。
【正解5】
問題 105 弛緩性便秘の原因に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 食物繊維の摂取不足
2 排便を我慢する習慣
3 腹圧の低下
4 大腸のけいれん
5 がん(cancer)による通過障害
弛緩性便秘の原因を聞いている問題です。
「大腸の運動機能を低下させる」という点をポイントに選択肢を選ぶ。
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弛緩性便秘とは、大腸の蠕動運動が低下することにより、大腸内の便の通過時間が長くなり、水分が多く吸収された結果、便が固くなって引き起こされるもの。
試験センターの解答は1となっていますが、食物繊維の摂取は弛緩性便秘を改善させる可能性があるかもしれませんが、仮にそうだとしても、それは対処法になると思います。また、食物繊維の摂取不足が原因たり得ることはあるかもしれませんが、それは蠕動運動の低下の原因と言えるでしょう。何を原因とするかの議論はあるかもしれませんが、少し疑問の残る問題だと感じます。
【正解1】
問題 106 抗ヒスタミン薬の睡眠への影響として,適切なものを1つ選びなさい。
1 就寝後,短時間で覚醒する。
2 夜間に十分睡眠をとっても,日中に強い眠気がある。
3 睡眠中に足が痛がゆくなる。
4 睡眠中に無呼吸が生じる。
5 夢の中の行動が,そのまま現実の行動として現れる。
抗ヒスタミン薬の副作用として、眠気,めまいや口渇,悪心・嘔吐,下痢,食欲不振などがあります。
試験センターの解答は2になっています。問題文からは抗ヒスタミン薬をいつ服用したか不明(睡眠前か睡眠後か)である為、少しなのが気になる。しかし、選択肢からは、他の解答で迷うものは無いように思われます。
【正解2】
問題 107 終末期に自分が望むケアをあらかじめ書面に示しておくことを表す用語として,正しいものを1つ選びなさい。
1 ターミナルケア(terminal care)
2 インフォームドコンセント(informed consent)
3 リビングウィル(living will)
4 デスカンファレンス(death conference)
5 グリーフケア(grief care)
用語の意味の問題です。難しく考える必要はありません。
用語の意味を知っていれば解けます。
1:ターミナルケアは、日本語で言えば終末期の医療・介護です。
2:インフォームドコンセントとは、患者や家族が病状や治療について十分に理解できるように医療職が説明を行い、その治療方針に同意を得ることです。
※16.認知症の理解(R元年-第32回)2/2 問題85も参照してください。
3:正しい。
4:デスカンファレンスとは、患者や利用者が亡くなった後に行うターミナルケアの振り返りです。
5:グリーフケアとは、悲しい経験をした家族等に対するケアです。
【正解3】
問題 108 死亡直前にみられる身体の変化として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 関節の強直
2 角膜の混濁
3 皮膚の死斑
4 下顎呼吸の出現
5 筋肉の硬直
死亡直前と死後を間違えないようにしよう。
死亡直前は、胸郭を使った呼吸から、下顎呼吸になります。
1,3,5は死後の現象です。
角膜の混濁は、疾病や老化により起こるものと言えます。