2.心理学理論と心理的支援(R元年-第32回)

問題8 次のうち,馴化(じゅんか)による行動の記述として, 適切なものを1つ選びなさい。
l 同じ大きな音が繰り返されるにつれて, 驚愕(きょうがく)反応が小さくなった。
2 乳児に新しいおもちゃを見せたら, 古いおもちゃよりも長く注視した。
3 まぶたにストローで空気を吹き付けると, 思わずまばたきした。
4 食あたりした後に, その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。
5 うまくできたら褒めることで, ピアノの練習に取り組むようになった。
 
馴化(じゅんか)という言葉を知らなければ、設問を見ながら考えるしかない。
1は、(大きな音→驚く)という刺激と反応の関係が、繰り返されることにより、(大きな音→驚きの反応が小さくなる)という関係に変化していくことが書かれている。これは、大きな音に馴れたからであろう。1が馴化(じゅんか)による行動の記述であろうと推測できる。2は、新しいものにより興味を示す現象が書かれていて、4はある食物で食あたりした場合、その食物を見るだけで吐き気がするというレスポンデント条件付けのような話が書かれている。ざっとみると何となく出題の意図はわかるのではないだろうか。3は、反射の話だし、5はオペラント条件付けにおける正の強化の事例だとわかる。

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馴化(じゅんか)の「馴」は、「なれる」という意味である。ある刺激が繰り返されることによって、その刺激に対する反応が徐々に見られなくなっていく反応を意味します。
これに対し、般化(はんか)という用語があります。般化とは、一定程度の条件反射が形成されることによって、はじめの条件刺激と類似の刺激がおこった時にも同じ反応が生じる現象のことで、これを「刺激般化」と呼びます。また、同一の刺激が異なる様々な反応を引き起こす現象を「反応般化」と呼びます。

【正解1】

問題9 パーソナリティの理論に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 クレッチマー(Kretschmer. E.)は, 特性論に基づき, 体格と気質の関係を示した。
2 ユングOung, C.)は, 外向型と内向型の二つの類型を示した。
3 オールポート(Allport, G.)は, パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。
4 キャッテル(Cattell, R.)は, パーソナリティをリビドーにより説明した。
5 5因子モデル(ビッグファイブ)では, 外向性, 内向性, 神経症傾向, 開放性, 協調性の5つの特性が示されている。
 
かなり細かい問題であるが、ある程度勉強していれば、2と5までは絞れたであろう。 
1のクレッチマーは、類型論なので×。2は〇だが、知らないと判断できないであろう。3は、オールポートの学説を知らないと判断に迷うであろうが、「生物学的特性と個人的特性の二つ」というのは少し違和感がある(生物学的特性とは何ぞや?)。4の説明にあるリビドーはフロイトのキーワードだが、キャッテルとは関係がない(知らないと判断できないが)。×である。5因子モデルを知らないと厳密には判断できないであろう。5因子モデル(ビッグファイブ)には、内向性はない(もう一つは誠実性)ので、5は×である。

【正解2】

問題10 愛着理論に関する次の記述のうち. 適切なものを1つ選びなさい。
1 乳幼児期の愛着の形成により獲得される内的ワーキングモデルが, 後の対人関係パターンに影響することは稀(まれ)である。
2 ストレンジ・シチュエーション法では, 虐待など不適切な養育と関係のある愛着のタイプを見いだすことは難しい。
3 愛着のタイプに影響を及ぼす要因には, 養育者の子どもに対する養育態度だけでなく,子ども自身の気質もある。
4 子どもの後追い行動は, 愛着の形成を妨げる要因になる。
5 乳幼児期の子どもの愛着対象は, 母親に限定されている。
 
基本的には、常識的な判断だけで解ける問題。 
積極法で正解を導こう!
1は×ぽい。素直に考えれば影響するのが普通だろう。2は、ストレンジ・シチュエーション法がわからないと判断に迷うであろう。注目したいのは3の記述である。普通に考えてありそうな話である。また、文末の「もある」(そういう場合もあるということ)という表現からも〇ぽい。4は、むしろ愛着の形成を促進する要因になると感じられる。×ぽい。5は、断定的な結論が×ぽいし、愛着対象は母親以外にも存在しそうである。×ぽい。

【正解3】

問題11 前期高齢者(65~74歳)における認知機能や知的機能の一般的な特徴について, 適切なものを1つ選びなさい。
1 作動記憶の機能は, 加齢による影響が顕著にみられる。
2 エピソード記憶の機能は, 加齢による影響がほとんどみられない。
3 意味記憶の機能は, 加齢による影響が顕著にみられる。
4 流動性知能は, 加齢による影響がほとんどみられない。
5 結晶性知能は, 加齢による影響が顕著にみられる。
 
難しめの問題である。
最終的に、1か3かで迷った人が多かったであろう。
1の作動記憶の原語はワーキングメモリである。加齢による影響は顕著にみられそうなので〇ぽいが、知らなければ△にして次に進む。2のエピソード記憶は、「去年の誕生日に何を食べたか、誰が祝ってくれたか」といった類の記憶だが、加齢による影響はありそうである(実体験に基づくもので恐縮だが…)。×ぽい。3の意味記憶は、「水=H2O」のような知識が典型だが、「顕著にみられる」とまでいえるだろうか。大学の先生は60歳以降もばりばり仕事をされている人が多いし。4と5は結論が逆であり×。流動性知能と結晶性知能は、過去問で頻出であり、さくっと消去したい。ワーキングメモリがわからなければ、3の記述が×ぽいと感じられたかどうかで、判断に差が出たと思われる。

【正解1】

問題12 ストレスに関する次の記述のうち, 適切なものを1つ選びなさい。
l コーピングとは,ストレスの原因となる出来事のことである。
2 日常の些細(ささい)ないらだちごとが積み重なっても,健康を損なうようなストレスは生じない。
3 ストレッサーを制御できるという信念は, ストレスの緩和にはつながらない。
4 アパシーとは, ストレス状態が続いても, それに対処できている状態のことである。
5 ハーデイネスとは, ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性である。
 
用語の知識がないと難しい問題である。
消去法と用語のイメージから正解を導こう!
1のコーピングはストレスへの対処に関するものであり、説明部分は明らかに×である。2は、普通に考えて×だとわかる。3も同様である。ストレッサーを制御できるという信念があれば、ストレスは緩和されるだろう。4のアパシー(Apathy)は、感情がなくなった状態を指す。Aは「ない」ことを意味し、pathyは「感情」を意味する。よって、4は×である。仮に知らなかったとしたら、1のコーピングと3の説明部分がつながることを理由に、交差法で1と3を×と判断するという方法もある。5は、ハード・ネス(強いイメージ)を意味するだろうから、説明部分とも整合性がある。

【正解5】

問題13 ストレス反応の1つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選ぴなさい。
1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。
2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。
3 近時記憶の著しい低下が生じる。
4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。
5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。
 
バーンアウトが燃え尽き症候群を意味することは必須の知識である。
1は、失語症状までは生じないので×。2は、とりあえず△。3のような症状は生じないので×。4は明らかに別の病気であろう。×である。5は、どうか。ここで2と5の内容が相反していることに気づく。バーンアウト(燃え尽き症候群)すると、周囲のことに関心がなくなる。これに近いのは、2であろう。

【正解2】

問題14 心理療法に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 回想法は, 高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
2 応用行動分析は, 個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
3 認知行動療法は, クライエントの人生を振り返ることでアイデンテイティを再確認していく。
4森田療法は, 不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
5 ブリーフセラピーは, 未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
 
用語などを知らないと解けない問題である。消去法で解答する。
1の回想法と説明部分は明らかに×。もしこれが回想法なら高齢者に使うことはしないだろう。2の応用行動分析は, 個人の無意識に焦点を当てるようなものではない。×である。3の説明部分は回想法についてのものであり認知行動療法に関するものではないから×。もし、この関係に気づけば、交差法で1と3を消せる。4は絶対に過去問などで見ているはずだが、この説明部分のような内容だったかは曖昧だと感じた人が多かったであろう。そういうときは△にして次に進む。5のブリーフセラピーは、短期療法のことであり説明部分は×である。

【正解4】