2.心理学理論と心理的支援(R2年-第33回)

問題 8 マズロー(Maslow, A.)による人間の欲求階層又は動機づけに関する理論について,次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 階層の最下位の欲求は,人間関係を求める欲求である。
2 階層の最上位の欲求は,自尊や承認を求める欲求である。
3 階層の下から3番目の欲求は,多くのものを得たいという所有の欲求である。
4 自己実現の欲求は,成長欲求(成長動機)といわれる。
5 各階層の欲求は,より上位の階層の欲求が充足すると生じる。
 
マズローによる人間の欲求階層又は動機づけに関する理論は過去問に何度も出ている。
肢3はやや細かいが、それ以外の肢(正解の4も含めて)は知っておいて欲しい内容である。
 
1は、×である。最下位の欲求は生理的欲求である。※腹が減っては戦ができない。
2は、×である。最上位の欲求は自己実現の欲求である。
3は、知らないと判断しづらい。△にして先に進む。
4は、〇である。それ以外の欲求を欠乏欲求という。
5は、×である。むしろ発想としては、逆であろう。

【正解4】

 

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
マズローの欲求は、まずロー(低い方)から充足される。
トイレに行く(生理的欲求)のを我慢しながら勉強することは難しい。
むしろ下位の階層の欲求が充足するとより、上位の欲求が生じると考えられる。さらに言えば、上位の階層が充足されていても、トイレに行きたい欲求を押さえるのは難しいとイメージすれば、分かりやすいのではないだろうか。

 
問題 9 知覚に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 外界の刺激を時間的•空間的に意味のあるまとまりとして知覚する働きを,知覚の体制化という。
2 明るい場所から暗い場所に移動した際,徐々に見えるようになる現象を,視覚の明順応という。
3 個人の欲求や意図とは関係なく,ある特定の刺激だけを自動的に抽出して知覚することを,選択的注意という。
4 水平線に近い月の方が中空にある月より大きく見える現象を,大きさの恒常性という。
5 二つの異なる刺激の明るさや大きさなどの物理的特性の違いを区別することができる最小の差異を,刺激閾という。
 
覚えにくい項目の一つであろう。過去問でも問われているが、頭の中が錯綜しそうになる人もいるだろう。
覚え方の工夫あるいはコツとして、具体例で覚える、定義と用語の関係を押さえる等してみるとよいのではないだろうか。あとは、本試験では問題が解ければよいという割り切りも大切である。
 
1は、よさそうな内容である。これが〇だと思われるが、念のために他の肢も確認する。
2は、暗順応の話なので×である。一文字の違いが明暗をわけるので注意しよう。
3は、×である。選択的注意という用語と「個人の欲求や意図とは関係なく」の部分が不適合だと感じて欲しい。
4は、錯覚の話であり、×である。大きさの恒常性とは、例えば身長167㎝の私が遠くからだんだん近づいてきた場合、大体同じ位の大きさであることがわかることである。
5は、×である。「物理的特性の違いを区別することができる最小の差異」は弁別閾である。
区別できる閾なので弁別閾である。これに対し、感覚量として知覚できる刺激の最少量のことを刺激閾(絶対閾)という。
違いのわかる受験生になろう。

【正解1】

 
問題10 社会的関係において生じる現象に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 初対面の人の職業によって,一定のイメージを抱いてしまうことを,同調という。
2 相手に能力があると期待すると,実際に期待どおりになっていくことを,ハロー効果という。
3 頻繁に接触する人に対して,好意を持ちやすくなることを,単純接触効果という。
4 外見が良いことによって,能力や性格など他の特性も高評価を下しやすくなることを,ピグマリオン効果という。
5 集団の多数の人が同じ意見を主張すると,自分の意見を多数派の意見に合わせて変えてしまうことを,ステレオタイプという。
 
過去問に類問がある。あやふやなものがあってもすぐに諦めない方がよい。問題文の中にヒントが隠されていることも多いからである。
肢2と肢4の説明あるいは用語が交差していることに気づくだろうか。この様な交差法は、出題の常套手段である。
 
1は、何となくよさそうな感じがした人もいるだろうが、とりあえず△にして先に進む。
2は、ハロー効果の説明としてはおかしいので×である(受験生ならハロー効果は知っていないといけない)。この説明は、ピグマリオン効果である。
3は、説明部分と単純接触効果という言葉はうまく合致している。これは〇ぽい。
4はどうか。「外見が良いことによって,能力や性格など他の特性も高評価を下しやすくなること」をハロー効果という。
5はどうか。ステレオタイプというのは、型にはまった考え方のような意味であり、説明部分とはいまいち合致しない。「集団の多数の人が同じ意見を主張すると,自分の意見を多数派の意見に合わせて変えてしまうこと」は、同調の説明である。

【正解3】

 
問題11 発達障害に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 限局性学習症(SLD)は,全般的な知的発達に遅れが認められる。
2 自閉スペクトラム症(ASD)は,通常,6歳以降に発症する。
3 自閉スペクトラム症(ASD)は,知的障害を伴わないのが特徴である。
4 自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如•多動症(ADHD)の両方が併存することがある。
5 注意欠如・多動症(ADHD)は,男児よりも女児の方が有病率が高い。
(注) 選択肢に使われている診断名に係る用語は,「精神疾患の診断•統計マニュアル(DSM- 5)」に基づく。
 
判別しにくい肢もあるかもしれないが、問題を解くことに限定すれば正解に辿り着けるのではないだろうか。
 
1は、「限局性」学習障害と「全般的」な知的発達が噛み合わないので×ぽい。
2は、「6歳以降に発症」するとあるが、生まれたときからの障害のイメージがあるので×ぽい。
3は、知らないと悩むかもしれないが、もしこれが正しいなら知識としては残っているのが通常ではないだろうか。3は×であり、知的障害を伴うこともある。
4は、内容及び文末の「併存することがある」という言い回しから〇ぽい。
5は、知識がないと断定的判断はできない。
ちなみにADHDは男児の方が有病率は高いので、5は×である。

【正解4】

 
問題12 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は,自然災害によっても引き起こされる。
2 フラッシュバックとは,心的外傷体験に関する出来事を昇華することである。
3 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は,心的外傷体験後1か月程度で自然に回復することもある。
4 過覚醒とは,心的外傷体験に関する刺激を持続的に避けようとすることである。
5 回避症状とは,心的外傷体験の後,過剰な驚愕反応を示すことである。
 
積極法で選ぶか、迷ったとしても消去法で正解を選ぶことができるのではないだろうか。
4と5は交差していることに気ければ、より正解に近づく。
 
1は、〇である。PTSDについては、特に原因が限られているわけではない。実際には、DVなどが多いかもしれないが、自然災害を除くといった話は聞いたことがない。
2は、×である。厳密に定義を言えなくても何となくわかるであろう。
フラッシュバックは、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が、突然かつ非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象である。
3は、×ぼい。1か月程度で自然に回復する程度のものなら、私たちでも何かショックを受けたときに通常経験するようなものといえないだろうか。むしろ1か月程度で自然に回復するようなものではないからPTSDとして治療や支援が必要なのだといえる。
4は、知らないと悩むかもしれないが、「過覚醒」という用語と説明文の「持続的に避けようとすること」とは噛み合わない感じがする。よって4は×ぽいと判断した方がよさそうである。
5は、×ぽい。回避症状と説明文とは噛み合わない感じがする。

【正解1】

 
問題13 心理検査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 特別支援学級への入級を検討したい子どもの知能検査を学校から依頼されたので,ロールシャッハテストを実施した。
2 改訂長谷川式簡易知能評価スケールの結果がカットオフポイントを下回ったので,発達障害の可能性を考えた。
3 10歳の子どもに知能検査を実施することになり,本人が了解したので,WAI S-IVを実施した。
4 投影法による性格検査を実施することになったので,矢田部ギルフォード(YG)性格検査を実施した。
5  WISC-IVの結果,四つの指標得点間のばらつきが大きかったので,全検査IQ(FS I Q)の数値だけで全知的能力を代表するとは解釈しなかった。
 
知識がないと1から4までを的確に判断することは難しいかもしれないが、いずれも過去問には登場している。
選択肢をざっと見て、5が一番無難記述だと気づけた人は意外にいたのではないだろうか。
 
1は、×である。ロールシャッハテストは人格検査である。
2は、×ぽい。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは認知症のテストであり、発達障害の判別に適しているとは考えにくい。
3は、10歳という年齢とWAIS₋Ⅳの対象年齢がポイントになる。
WAISは成人用の知能検査なので(WAISのAはAdultの略)、10歳の子どもに適用するのはおかしいと考えて×と判断できる。
4は、×である。詳しく知らなくても、YG検査が投影法でないことくらいは知っている人も多かったであろう。
※矢田部ギルフォード(YG)性格検査は、人の性格に関する短い120問の質問に対して、「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3つの選択肢のうちのどれかを選んで答える形式のものである。このことを知っていれば、投影法による性格検査でないことがわかるので×と判断できる。
5は、きちんと説明することは難しいが、内容から考えると間違っていることは書かれていないと感じた人が多いのではないだろうか。

【正解5】

 
問題14 認知行動療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 セラピストは,クライエントが独力で問題解決できるように,クライエントとの共同作業はしない。
2 他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリングが含まれる。
3 クライエントは,セッション場面以外で練習課題を行うことはない。
4 リラクセーション法は併用しない。
5 少しでも不快な刺激に曝すことは避け,トラウマの再発を防ぐ。
 
認知行動療法は過去問でも頻出事項である。
認知行動療法をイメージできている受験生とそうでない受験生とで、本問の出来がわかれたと考えられる。※気になる人はYouTubeで実際にやっているところを一度見てみるのがよいと思う。
 
1は、「共同作業はしない」と断定しているが、そんなことはないだろうと感じた人が多かったのではないだろうか。もちろん1は×である。
2は、認知行動療法で普通に行われていることであり、〇である。
仮に、知らなくても〇ぽいと感じた人も多いのではないだろうか。
3は×ぽい。1と同様に断定的な言い回しが×ぽい。セッション場面以外で練習課題を行わない理由がわからない。
4も1、3とほぼ同様な理由で×とすべきであろう。
5は、認知行動療法の知識がないと判断が難しかったかもしれない。
認知行動療法は、不快な刺激に晒すことを避けてトラウマの再発を防ぐためのものではない。×である。

【正解2】