2.保育原理(H31年-前期)2/4

問6 
次の【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の事項を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
A 豊田芙雄は、日本初の保姆となり、松野クララとともにフレーベル主義の保育を展開した。
B 赤沢鍾美によって設立された私塾で、託児施設が設置されていた。
C 橋詰良一は、露天保育を提唱し、自然の中で子どもたちを自由に遊ばせるために、自動車で郊外に連れ出して保育を行った。
D 野口幽香と森島峰(美根)が寄付を募り、1900 年に設立した施設で、貧しい家庭の子どもたちを対象にフレーベルの精神を基本とする保育を行った。
【Ⅱ群】
ア 二葉幼稚園
イ 子守学校
ウ 家なき幼稚園
エ 新潟静修学校
オ 東京女子師範学校附属幼稚園
(組み合わせ)
  A B C D
1 ア イ ウ エ
2 ア エ イ ウ
3 オ イ ウ ア
4 オ エ イ ア
5 オ エ ウ ア
 
人名での整理
豊田芙雄:東京女子師範学校附属幼稚園 日本の保母第1号
赤沢鍾美:新潟静修学校を設立
橋詰良一:家なき幼稚園
野口幽香と森島峰(美根):二葉幼稚園
子守学校は、渡辺嘉重が茨城県に開設したものが最初といわれている。

【正解5】

問7 
次の文は、ルソー(Rousseau, J.-J.)についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 『人間不平等起源論』(1755 年)や『社会契約論』(1762 年)を著した。
B 『エミール』(1762 年)では、人間は、自然、事物、人間という3種類の先生によって教育されるとし、これら3者のうちで人間の力ではどうすることもできないのは「自然の教育」であるため、優れた教育のためには「人間の教育」と「事物の教育」を「自然の教育」に合わせなければならないと主張した。
C 『エミール』(1762 年)では、人間の心は、その誕生の段階において、いかなる観念や原理も書き込まれていないまっさらな白紙の状態にあるとし、そのため教育が与える影響が大きいと主張した。
D 『エミール』(1762 年)の中で示された、「美徳や真理を教えることではなく、心を不徳から、精神を誤謬からまもる」教育の考え方は「消極教育」と呼ばれ、子どもの内発的な力を重視する教育の源流となった考え方である。
(組み合わせ)
  A B C D
1 ○  ○  ○  ○
2 ○  ○  ×  ○
3 ○  ×  ○  ×
4 ×  ○  ×  ×
5 ×  ×  ×  ○
 
重要人物についてです。
ルソーの著作物としては、人間不平等起源論、社会契約論、エミールを覚えておけば大丈夫。
B優れた教育のためには「人間の教育」「事物の教育」「自然の教育」に合わせなければならない。
D子どもの内発的な力を重視する教育の源流となった考え方。
BとDはルソーの考え方です。
Cの「まっさらな白紙の状態にあるとし、そのため教育が与える影響が大きい」というのは、ロックが人間知性論の中で主張しています。

【正解2】

問8 
次の【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
A スイスの心理学者で、子どもと大人の思考構造の違いを研究し、子どもの思考の特徴として、自己中心性に基づく見方や考え方をあげた。
B アメリカの哲学者、教育思想家で、主著『学校と社会』(1899 年)において、子どもを中心とする教育への変革の必要性をコペルニクスにたとえて主張した。
C アメリカの婦人宣教師で、神戸の 頌栄 幼稚園、頌栄保姆伝習所の創立者となり、フレーベル保育理論の普及に力を注いだ。
D アメリカの進歩主義的保育を代表する指導者で、形式化したフレーベル主義を批判し、のちに自身の名前が付けられる大型積み木を考案した。
【Ⅱ群】
ア ピアジェ(Piaget, J.)
イ デューイ(Dewey, J.)
ウ ハウ(Howe, A.L.)
エ ヒル(Hill, P.S.)
オ エリクソン(Erikson, E.H.)
(組み合わせ)
A B C D
1 ア イ ウ エ
2 ア イ エ ウ
3 ア ウ エ オ
4 オ イ ウ エ
5 オ ウ エ ア
 
Aはピアジュ
Bはデューイ
Cはハウ
Dはヒルの考え方です。
エリクソンは、米国で最も影響力のあった精神分析家の一人で心理社会的発達理論が有名です。

【正解1】

問9 
次の保育所での1歳児クラスの【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
Kちゃんは登園の際、いつも大人の手のひらほどの小さな白いあひるのぬいぐるみを持っている。
母親は家を出るときに、「保育園にはおうちの物は持って行ってはだめなんだよ。あひるさんはおうちにおいていこう。」とKちゃんに伝えている。だが、Kちゃんは受け入れられない。
登園して支度が終わり、母親が保育室を出るときになっても、Kちゃんは手に持つぬいぐるみを離すことはできない。母親が無理にぬいぐるみを離そうとすると、Kちゃんは大泣きしてしまう。結局Kちゃんは、ぬいぐるみをそのまま保育室に持ち込む日が続く。食事や遊びの際、ぬいぐるみを離せそうなときは、保育士がエプロンのポケットに預かることもあるが、預かろうとすると頑なに首を振り、そのまま手に持って過ごしている日もある。
【設問】
「保育所保育指針」第1章「総則」、第2章「保育の内容」に照らし、保育士のKちゃんへの対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A クラスの他児は、家から玩具などを持ってきていない。不平等になるため、今後は朝の登園の際にぬいぐるみは必ず保育士が預かり、Kちゃんが求めても降園まで渡さないようにする。
B Kちゃんの母親に、家を出るときにぬいぐるみを持たせないようにお願いする。
C Kちゃんがぬいぐるみを持つことで安心するのであれば、Kちゃんのぬいぐるみを持っていたい気持ちを受け入れる。
D 今すぐにKちゃんからぬいぐるみを離すのではなく、ぬいぐるみがなくても楽しく遊んで過ごせるように努めていく。
E 園のルールとしておうちの物は持ってきてはいけないことを、Kちゃんがわかるまで繰り返し言葉で伝える。
(組み合わせ)
  A B C D E
1 ○  ○  ×  ×  ○
2 ○  ○  ×  ×  ×
3 ○  ×  ○  ×  ○
4 ×  ○  ×  ○  ○
5 ×  ×  ○  ○  ×
 
保育所保育指針の事例問題、応用編と言えます。
この様な問題を解くときは、明らかな間違いか、どう考えても正しいことから選んでいきましょう。
まずは、選択肢C
「Kちゃんがぬいぐるみを持つことで安心するのであれば、Kちゃんのぬいぐるみを持っていたい気持ちを受け入れる。」
気持ちを受け入れる (受容)は非常に大切な対応です。
また、その行動を是認しているわけではありませんので、間違いの可能性はありません。
同様にDも「ぬいぐるみがなくても楽しく遊んで過ごせるように努めていく。」ということに問題があるとは思えません。
逆に、
Aの「不平等になる」は、子どもの個人差に十分配慮するということに反しています。「Kちゃんが求めても降園まで渡さない」というのは、子どもの主体性を大切にするということに反しています。 
Bの「母親に、家を出るときにぬいぐるみを持たせないようにお願いする」は、保護者の意向を理解、受容することになりません。そもそも専門職として、自らが取り組むべき課題ではないでしょうか。
Eの幼児に繰り返し説得するということは、子どもの気持ちを無視していることになります。やはり、ぬいぐるみを離さない気持ちを受け止めながらも、ぬいぐるみがなくても楽しく遊べるように心掛けるということになります。

【正解5】

問10 
次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
1歳児クラスの担当保育士が、最近の子どもたちの食事の様子について話をしている。その中で、特にH児について担当のX保育士(以下X)が悩みを語り、Z保育士(以下Z)が一緒に考えている。
X:Hちゃんの野菜嫌いは相当です。先日も、野菜を食べるのを嫌がって大泣きしました。その時は椅子からどうしても降りるといって食事を一時中断したほどです。食事中に室内を歩き回って、テーブルに戻ってきてまた一口食べる、というような状況もあります。食事だけでなく自分が嫌なことに対しては激しく怒ったり泣いたりします。
Z:たしか、ご両親は外国籍の方だったわね。家ではどんな食事をしているのかしら。お迎えの時にでも様子を聞いてみたらどうかしら。
X:はい。この間食事についてお話ししたところ、家ではスープや茹で卵を食べることが多いようです。スープはレトルトのようで、歯ごたえのあるものはほとんど食べさせていないようでした。「野菜はどうですか?」と聞いてみたら「スープの中に入っているから大丈夫」と言っていました。少しずついろいろなものを食べさせるようにと伝えてはいるのですが、なかなかうまくいきません。
Z:それぞれの国の子育て文化も違うから、よく聞いてみて、これからどう関わったらよいか考えていきましょう。
【設問】
H児やその保護者への保育所の対応として、「保育所保育指針」第1章「総則」の1「保育所保育に関する基本原則」(3)「保育の方法」、第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」、第3章「健康及び安全」の2「食育の推進」に照らし、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
 
A H児の保護者は、1歳児にふさわしい食事について理解できていない。そこで、このままでは栄養や味覚が偏り食事のマナーも身につかないことを理解してもらう必要があるため、家庭での食事のとり方や内容について、繰り返し粘り強く説得する。
B H児は日本語の理解が十分でないために、保育所生活に対して不安があるのかもしれない。そこで食事についてだけでなく、生活全体をもう一度見直し、H児が安心した生活を送れるようにすることから始める。
C 現状ではH児の食事に時間がかかることを前提として、食事の開始時間を考え、担当保育士が余裕をもって食事に関われるように保育士同士が協力し合って柔軟な体制を整える。
D H児の食事の内容やマナーについて、日本での考え方を一方的に押し付けないためにも、両親の母国ではどのようなことが一般に行われ考えられているのか、ゆっくり時間をとって話を聞く。
(組み合わせ)
  A B C D
1 ○  ○  ×  ×
2 ○  ×  ○  ×
3 ×  ○  ○  ○
4 ×  ○  ×  ○
5 ×  ×  ○  ○
 
問9よりも具体的に出題箇所の指定があります。
Aは、保護者に対する指導も保育士の役割となっている為、勘違いをするかもしれません。
保護者に対する指導と保護者の意向の尊重などが反する時、どうすべきか。
少なくとも、繰り返し説得するという行為は適当ではないと考えられます。
Bの「生活全体をもう一度見直し、H児が安心した生活を送れるようにする」ということに間違いはなさそうです。
Cの「余裕をもって食事に関われるように保育士同士が協力し合って柔軟な体制を整える。」
これも〇ですね。
Dの「一方的に押し付けないためにも、両親の母国ではどのようなことが一般に行われ考えられているのか、ゆっくり時間をとって話を聞く。」
これも正しいですが、これが正しいとするとAが間違いなのに気付くのではないでしょうか。

【正解3】