19.精神疾患とその治療(R元年-第22回)2/2

問題 6 次のうち,緊張病状態でよくみられる症状として,正しいものを2つ選びなさい。
1 躁気分
2 知能低下
3 せん妄
4 常同症
5 拒絶症
 
緊張病状態という用語は馴染が少ない人が多かったのではないだろうか。
知らなければ、病的といえる位に緊張した状態を指すのだろうと考え、選択肢を読みながら考えるしかない。
1の躁気分は、緊張とは関係が薄そうなので×ぽい。2の知能低下も緊張から導くことは難しいだろう。もしこれが正しいなら緊張しやすい人の知能はどんどん低下することになってしまうが、そんな話は聞いたことがない。×であろう。3のせん妄も緊張から導かれるとは考えにくい。4の常同症は、同じことを繰り返すような症状を意味する。これは十分にありえそうである。〇ぽい。5の拒絶症はどうか。極度な緊張状態にあれば、周囲からの働きかけに対して拒絶的になるということはありそうな話である。これも〇ぽい。正しいものを2つ選べというのだから、4と5を選ぶのが無難であろう。

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問題は上記のように考えることで、強引に解くことができるが、緊張病(Catatonia)については、こうした機会に押さえておくのがよい。
緊張病とは、精神運動の低下および昏迷状態に代表される異常行動を特徴とする状態を指す。
症状には、カタレプシー(不自然な状態の姿勢を緊張から維持し続ける)、あるいは非常に興奮した状態になることがある。DSM-5(2013年)では、カタトニア(緊張病(Catatonia))の新たな診断基 準が設けられ、種々の精神・身体疾患の診断名に付加する形で診断することが可能となっている。

【正解4,5】

問題 7 次のうち, 抗精神病薬の主な副作用として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 健忘
2 脱抑制
3 身体依存
4 反跳性不安
5 遅発性ジスキネジア
 
難しい症状も混じっている。自信がなければマークだけして飛ばしても良い問題である。
第15回以降の試験で遅発性ジスキネジアという用語が問題文に出たのは初めてであるが、関連問題は過去に度々出ていた。直前対策講座を受講してくれた人は、マークしていたと思われる。
抗精神病薬の主な副作用は、遅発性ジスキネジアである。知受験生としては、知っておいて欲しい知識である。過去問を使う勉強法は、知識を得ることは勿論ですが、そこから何を学ぶのかが大事。また、限られた時間の中で問題と解くことと、普段の勉強の中で問題を分析することは別ものであることも知っておいて欲しい。本問のような問題に出会った時には、解いた問題をしっかりと分析することが必要である。これが出来ていれば、本試験で思い切った解き方や決断力の伴う解答が可能になってくる。

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
遅発性ジスキネジアは、反復的な、不随意の、目的のない動作によって特徴づけられる。不随意運動の種類としては、顔を歪める、舌を突き出す、舌鼓を打つ、唇をすぼませる、眼の瞬きが早い、などがある。
パーキンソン病の患者は動くことが困難であるが、遅発性ジスキネジアの患者は動かさないことが困難である。1950年代にクロルプロマジンや他の 抗精神病薬が導入されてから間もなく、遅発性ジスキネジアについての報告がなされた。
なお、ドーパミンD2受容体拮抗作用を持っている抗精神病薬による副作用として、アカシジアが出現することがある。アカシジアは、錐体外路症状(EPSという)による静座不能の症状を指し、主な症状は、座ったままでいられない、じっとしていられない、下肢のむずむず感の自覚症状などであり、下肢の絶え間ない動き、足踏み、姿勢の頻繁な変更、目的のはっきりしない徘徊(タシキネジア)などが特徴である。⑯-問9参照。
抗精神病薬にもいくつかの種類があり、その副作用もいくつかのものが見られる。問題を解くときにその答えだけを覚えるという勉強では、違う形で出題されたときに対応することが難しい。

【正解5】

問題 8 次の記述のうち, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を処方するときのうつ病患者に対する説明として, 適切なものを1つ選びなさい。
l 「空腹時に服用してください」
2 「イライラ感の出現に注意してください」
3 「服用後数時間で効果が出現します」
4 「服用後数時間は安静にしてください」
5 「症状の強いときに頓服として服用してください」
 
正答率は低かったと思われる。
SSRIは飲み始めに吐き気、むかつき、下痢、便秘などの消化器系の副作用があらわれたり、一時的に不安やイライラが強まったりすることがある。こうした副作用について知っていれば、2を選べるが、知らなければ解くのは難しいであろう。もっとも1が×であることはわかって欲しい。前年の㉑‐問7で、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用について出題されている。この時の、正解選択肢は、「眠気と嘔気」であった。この知識があった人は、推論で4を選んでしまったのではないだろうか。こうしたミスを防ぐためにも、問題7でコメントした「過去問学習における分析」の重要性を理解してもらえるのではないかと思う。実務でしばしば目にしているような人を除けば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用と用法上の注意を正確に押さえていた受験生は少なかったであろう。

【正解2】

問題 9 次のうち, 「転移」を利用する精神療法として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 森田療法
2 行動療法
3 ゲシュタルト療法
4 支持的精神療法
5 精神力動的精神療法
 
「転移」という用語は過去問でも出ている
過去問の実績を知らなくても、受験生なら何となくでもイメージできないといけない。選択肢の中で「転移」を利用する精神療法は、5の精神力動的精神療法である。

【正解5】

問題 10 次の記述のうち. 医療保護入院を検討すべき要件として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 本人が入院に同意する場合
2 本人が身体的虐待を受けている場合
3 本人に精神疾患に対する病識がなく, 入院治療の必要性を理解できない場合
4 医療や保護に急速を要し, 家族等の同意を得ることができない場合
5 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合
 
正確に覚えていなければ、比較しながら適切なものを見つければよい。
知識が若干曖昧でも選択肢を比較しながら解けば、正解が導けそうな問題である。
1は、本人の同意があれば任意入院となるので×。2は、医療保護入院とは関係がない(虐待を受けている人の保護の話である)ので、×。3は本人の自覚がないので、医療保護入院を検討すべき場合にあたりそう。4は、「家族等の同意を得ることができない」のであれば、医療保護入院は検討できないので×。5は、自傷他害のおそれがあるので、速やかに入院を検討すべき場面である。言い換えれば、家族等の同意を待っているような場面ではない。×ぽい。

【正解3】