19.福祉サービスの組織と経営(R元年-第32回)

問題119 社会福祉法人制度に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法人が行える事業は, 社会福祉事業と公益事業に限定される。
2 社会福祉法人は福祉サービス提供のための法人であるため, 診療を行う事業を実施できない。
3 社会福祉法人が解散した際の残余財産は, 設立時の寄附者に帰属する。
4 社会福祉法人は, 他の社会福祉法人と合併することはできない。
5 社会福祉法人は, 社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため,自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない。
 
選択肢の1から4までの内容は、過去問で出題されている。
基本的知識と言ってもよい事項なので、正解して欲しい。
1は社会福祉法人も収益事業が可能なので×。2も×である。社会福祉法人は病院も設立できる。3も×である。設立時の寄付者に持分は存在しない4は社会福祉法人も合併できるので×。5は直接に知らなくても、書いてある内容に特に問題はない。これが〇だと推測できる。 

【正解5】

問題120特定非営利活動法人の制度や実態に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 内閣府の統計によると, 2018 年度(平成30 年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは,「保健, 医療又は福祉の増進を図る活動」である。
2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち, 給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。
3 一つの市町村のみに主たる事務所を置く特定非営利活動法人の所轄庁は, 市町村長であると法に定められている。
4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので, 収益事業を行うことはできない。
5 特定非営利活動法人の認証を受けるには, 社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。
 
本問は普通に勉強していては出合わない部分からの出題となっている。
特定非営利活動法人については社会福祉法人と対比させながら勉強すると記憶に残りやすい。
しかし、本問では、2から5の中にはかなり細かいものが含まれている。2から5を読んで解くのは困難と感じたら、積極法で1を選ぶのがよい。何故なら、1に記載の傾向は設立時から変化していない。知っておいて欲しい知識であるからだ。
1は、いきなり正解が来たかという感じの記述である。これが〇だと思われるが、一応、残りも確認するのが無難である。2であるが、給与を受ける職員の数は何人でもいいはずだと気づいて欲しい。社会福祉法人だって無給で働いている人はまずいないのだから。3を都道府県知事が認可するから×とした人はラッキーである。反対によく勉強している人は、社会福祉法人の改正が頭をよぎり迷ったであろう。結論からいうと特定非営利活動促進法に3のような規定はないので、×である。4は、特定非営利活動法人も収益事業を行えるので×である(問119‐肢1も参照)。5は知らないと判断に迷う。特定非営利活動法人が認証を受けるには、10人以上の社員が必要である(12条1項4号)。知識としては細かいが、これを知っていたとしたら5をどう判断すべきだろうか。基本的に社員の氏名、住所、居所は明記すべきだと考えるのが素直ではないだろうか。そうでないと無茶苦茶な団体が登録を受けたときに困るであろう。ただ、全員かというとそうでもなく「社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面」であればよいとされている(10条1項3号)。 

【正解1】

問題121 集団の力学に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 集団の凝集性を高めるには, メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。
2 集団浅慮とは, 集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。
3 コンフリクトとは, 集団内部に発生する対立や闘争であり, 集団に肯定的な影響を与えるものではない。
4 集団の凝集性が高まると, メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり, 意思決定は堅実なものになる。
5 集団の凝集性が高くても, 集団目標と組織目標の一致度が低い場合には, 生産性が低下する。
 
本問と関連した問題は心理学で何回か出題されている。
ある科目で問われた問題が別の科目で出題されることは本試験ではしばしばみられる。極端な縦割り思考はやめたほうがよい。
1は、メンバー間の異質性を強化すると集団内の関係は悪化し凝集性が低くなるので×。2の集団浅慮とは、集団で行動するときに浅はかな行動に走りやすい場合があることを示す用語なので×。3のコンフリクトは対立を意味するが、集団に肯定的な影響を与える場合もあると考えられるので×ぽい。なお、コンフリクトという用語は過去問で何回か出題されている。4のように集団の凝集性が高まるとメンバー間の親近感が強まるが、その反面、リスクに対する警戒感が弱まり、意思決定が浅はかになりがちである。これが集団浅慮である(前述の肢2参照)。(例:赤信号みんなで渡れば怖くない)5のようなことは、普通に考えても起こりうると推測できる。㉓‐問114で類似した問題が出されている。

【正解5】

問題122 福祉サービス提供組織の経営体制と財源に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。
2社会福祉法人のうち, 第一種社会福祉事業を経営しない法人は, 評議員会を設置しなくてもよい。
3介護保険制度における介護報酬の支払には, 保険者がサービス利用者本人に支払い, その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。
4特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は, 定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。
5特定非営利活動法人は, 特定非営利活動に係る事業に支障がない限り, 利益の配当をすることができる。
 
社会福祉法人も利益の配当をすることはできない(肢5参照)。非営利とはこのことを指す。
重要な基本的知識であり、これを間違えるようでは勉強不足である。
1は〇である。現役の学生であれば知らない人が多いと思われるので、分からなければ△にして次に進む。2は、第一種社会福祉事業を経営しなかったとしても、評議員会は置かないとだめだろうと感じて欲しい。もちろん×である。3は、よく読む必要がある。説明は実際の支払いの流れが逆になっているので×である。4は実際の便宜を考えて認めてもよさそうな内容である。〇ぽい。5の利益配当は特定非営利活動法人では許されないので×である。2と5は基本的知識といえる(あるいは推測が容易)が、1は知らないと判断しづらい。3を×と判断できたかが正誤をわけたと思われる。

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法定代理受領とは、本来なら利用者が事業者に全額事業主に支払い、その後に保険者が利用者に保険給付の部分(大体は9割)を支払うべきところ、事業者が利用者に変わって保険者から保険給付の部分(大体は9割)を受領することを認める制度である。

【正解1,4】

問題123 福祉サービス提供組織の社会的責任に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 コンプライアンスは,営利組織のためのものであるため, 福祉という公益性の高いサービス提供組織においてその確立は求められていない。
2 ディスクロージャーとは,組織内において課題を発見し事故を未然に防ぐ内部監査である。
3 アカウンタビリティとは,ステークホルダーに対する説明責任を指す。
4 ガバナンスは,営利組織の問題であり非営利組織にはその確立が求められていない。
5 公益事業への苦情を通報した利用者を保護するために, 公益通報者保護法を遵守しなければならない。
 
福祉サービス提供組織の社会的責任がテーマであることをしっかりと押さえて解く。
積極法で正解を導いて欲しい問題である。
1のコンプライアンスは法令順守を意味するが、福祉という公益性の高いサービス提供組織であれば営利組織以上に確立されていなければいけないといえるだろう。もちろん×である。2はディスクロージャーの意味を知っていると有利である。dis・closeは、閉じていたもの(close)を否定する(dis)ことを意味する。その名詞形であるディスクロージャーは情報を開示することを指す。よって、3は×である。4のガバナンスは統治するといった意味である(コーポレート・ガバナンスは日本に定着しているといってよい)。過去問でも何回か目にした記憶がある。営利組織だけの問題ではなく、非営利組織にもその確立が求められることは容易に推測できる。本肢も×ぽい。5は、普通に考えて〇だと判断できる。具体的には、施設などで虐待を受けた利用者がそれを行政に通報するような場面の話である。1から4の中に、知らない用語があった受験生もいると思われる。それでも本問は肢5が正解であることはわかりやすい。

【正解5】

問題124 介護サービスの人材の確保に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 第7 期介護保険事業計画の介護サービス見込み蓋等に基づく介護人材の必要数は,2020年度末には約100万人が見込まれている。
2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア, フィリピン, ベトナムの3か国である。
3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は,潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。
4 介護分野の有効求人倍率は, 全産業平均とほぼ同程度で推移している。
5 「平成29年度『介護労働実態調査』の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると,訪問介護員,介護職員の1年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約30%であった。
 
ざっと肢を眺めると難しそうな印象を受ける問題である。少しでも早く肢を絞ることを考える。
1は、△にして次に進む。2は、知らないと自信を持って判断できない。△にして次に進む。3の潜在介護福祉士は、資格を有しているが介護の仕事に就いていない人だと推測できる。現に職に就いていないとはいえ国家資格を取るだけの勉強をしているのだから、「介護に関する入門的研修」の対象とは考えにくい。本肢は×であろう。4は、介護職員の離職率が高いことは周知の事実なので、「全産業平均とほぼ同程度推移している」の部分が×だと推測できる。5は、「1年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約30%」とあるが、もっと低いと推測できるので×であろう。ここで1と2を再度検討し、解決の糸口を探る。
2の各国はいずれもありえそうな国名である。1の記述はどうか。日本の高齢化率が21%を超えているは、多くの受験生が知っていると思う。仮に人口を1億人と考えてもゆうに2,100万人以上の高齢者がいることがわかる。この高齢者数に対して、介護人材の必要数が100万人というのは多いか少ないかである。普通に考えれば少なすぎると判断すべできあろう。以上から、消去法で2を選ぶ。

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
2018年度からの第7期介護保険事業計画を基にした「将来、必要となる介護人材」の数は、2020年度には約216万人、2025年度には約245万人と推計されている。今後、年間6万人程度の介護人材確保が必要だと言われている。
※ただし、このことを知っていた受験生はどの位いたのであろうか。あまり多くはないと思う。

【正解2】

問題125 社会福祉法人の会計財務等に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 減価償却費は, 法人の外部に資金が流出する費用である。
2 貸借対照表の負債の部は, 資金を何に投下したかを表す。
3 管理会計は, 組織外部者への情報開示を目的とする。
4 事業活動計算書とは, 一時点のストックを表すものである。
5 貸借対照表は, バランスシートと呼ばれるように, 負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。
 
財務諸表に関する問題は3年に2回程度の割合で出題されているが、一問一答式の勉強では記憶に残りづらい。
3か5で答えが割れたと思われる。
肢1,2,4は過去問で問われているし、正誤を判断しやすい内容といえる。これに対し肢5の知識については、㉗‐問119‐肢3で問われているものの、その肢は違う着眼点で正誤を判断できるものだったので、記憶に残っていた人は少なかったかもしれない。
1の減価償却費は、外部に資金が流出するような性質を有する費用ではないので×である。2の貸借対照表は現にある財産の状態(ストック)を示すものに過ぎないので、×である。3は、「管理会計」と「組織外部者への情報開示」がつながると感じるかどうかで判断がわかれそうな肢である。4の事業活動計算書は社会福祉法人が1年間の事業活動を行った結果の損益の状況を反映した計算書なので、×である。5の貸借対照表はバランスシートと呼ばれる。ここまではわかりやすいが、一致するのが負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額なのかは知らないと判断しづらい。

【正解5】