18.相談援助の理論と方法(R元年-第32回)3/3

問題112 S市社会福祉協議会は, S市から避難行動要支援者への支援の役割調整等のコーディネートを委託されている。
次の記述のうち, コーデイネーターであるS市社会福祉協議会のF社会福祉士が平常時から行う行動として,適切なものを2つ選びなさい。

1 避難行動要支援者を個別に訪問し,避難支援を行うに当たっての留意点を開き取る。
2 内閣府が策定する,避難支援のための個別計画を地域の支援者と共有する。
3 地域住民に声を掛け,避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。
4 災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。
5 避難行動要支援者に対して,住民の中から住民基本台帳によって支援者の役割を割り当てる。
 
問われているのは、S市社協の「F社会福祉士が平常時から行う行動」である。このことを念頭に置いて、選択肢を検討していく。
S市社協がS市から委託されているのは、「避難行動要支援者への支援の役割調整等のコーディネート」である。
1は、避難行動要支援者一人ひとりの状況を把握しようとするものであり、適切な行動といえよう。2は、内閣府の策定した避難支援のための個別計画がいかなるものなのかがわからないと判断しづらい。ただ、その内容は要支援者の個別性を考慮したものでないことは推測できる。△にして次に進む。3は、コーディネーターの活動として適切なのかという疑問が脳裏をよぎるかもしれない。ただ、実際に避難訓練を行う中で見えてくる課題や役割はありそうな気がする。4のように要支援者の存在を地域住民に知ってもらうことの有効性は否定できないが、「地域の全戸に配布する」という行動には疑問も湧く。×ぽい。5は、地域住民の特性を考えずに住民基本台帳で支援者の役割を割り当てるという行動は適切とはいえないであろう。1の〇はわかりやすいが、残り一つを2と3のいずれとするかで答えが割れたと思われる。前述のように、2と3を比べるなら、3の方が適切といえそうである。

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問のように微妙な肢が含まれている問題で注意して欲しいのは、解いている過程で正解を2つ選ぶことを忘れてしまったり、何をしているのかがわからなくなって時間をロスしてしまったりといったミスをおかしやすいことである。実際に問題を解く中でそうしたミスをおかさないようにするためには、演習方式の過去問学習が効果的である。

【正解1,3】

問題113 事例を読んで,地域包括支援センターのG社会福祉士が, 現段階で行う関係者の連携による会議として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
近隣住民から, H さん(82 歳,女性)宅から異臭がするとの相談を受けたJ民生委員が,その地域を担当する地域包括支援センターのG社会福祉士に,訪問への同行を依頼した。Hさん宅を訪問し話を聞く中で, ゴミ収集の曜日や分別の方法の理解が難しくなっている状況が分かってきた。他にも同様のケースの存在を意識したG 社会福祉士は, Hさん個人への支援と,地域でHさんと同じような困難を持つ高齢者を支えるために会議を開催することにした。
1 住宅確保が難しい人の,民間賃貸住宅への入居を進める住宅確保要配慮者居住支援協議会
2 高齢者虐待対応のための個別ケース会議
3 高齢者のニーズ調査を企画する,介護保険法に基づくサービス担当者会議
4 地域包括支援センターと関係者で協議する地域ケア会議
5 介護支援専門員の資質向上を目指す地域包括支援センターの事例検討会
 
このタイプの問題は、事例をきちんと把握できるかどうかにかかっている。
事例問題の対策は、当ブログ本科目の出題傾向と対策に記載してあるので、参考にして欲しい。
1の住宅確保は事例とはまったく関係がないので、×である。2の高齢者虐待も事例には一切出てこない。これも×である。3も×である。Hさんが介護保険のサービスを利用しているかが不明である上に、G社会福祉士は地域包括支援センターの職員であることからも自信をもって不適切といえる。なお、介護保険法に基づくサービス担当者会議のイメージが湧かない人は、テキストやネットで確認して欲しい。4は特に問題のない記述であり、これまでのところ最も適切なものである。4は、Hさんが介護保険のサービスを利用しているか不明だし、同様なケースにある人が要介護の認定を受けているとは限らないことからも×だと判断できる。

【正解4】

問題114 次のうち, グループワークにおいて, グループワーカーが活用する援助媒体として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 メンバー間に形成されるソーシャルワーク関係
2 メンバーとグループワーカーの間に形成される相互援助関係
3 現在のグループの発達段階では達成が難しい, 高い目標設定をしたプログラム
4 グループワーカーが運営する別のグループの集団規範
5 援助目標達成に関わる人, 物, 社会制度等の社会資源
 
馴染の薄いタイプの問題である。
社会福祉士の国試の問題は、素直に考えた方がよい結果が出ることが多い。今年の問題も全体としてはそのように言えるが、本問は違うタイプの問題である。
1は、メンバー間のソーシャルワーク関係が何となく変な感じである。2は、それなりに援助媒体になりそう。3は達成が困難な目標設定という点でおかしい。×ぽい。4は「別のグループの」規範を用いるという部分が×ぽい。5はソーシャルワーク一般にあてはまるが、その援助技法の一つがグループワークなので、とりあえずよさそう。2か5かで悩んだ人、あるいは問題の意図が掴めなかった人が多かったのではないかと思われる。なお、この問題は、過去問の㉗‐問113‐肢4を独立させた問題である。私の記憶にはまったくといいほど残っていなかったが、社会福祉士養成テキスト『相談援助の理論と方法Ⅱ(第2版)』(中央法規)には、グループワークの援助媒体として記述されている。援助媒体とは、援助目標を達成するために活用する手段や道具のことである。グループワークの援助媒体には、①ワーカーとメンバーの対面的関係、②メンバー間の相互作用、③プログラム活動、④社会資源の4つがある。この知識があったとしても、①をどう捉えるかで判断がわかれてくる。コノプカは、グループワークの基本原則の一つとして、ワーカーとメンバーとの間に意図的な援助関係を樹立することを挙げている。選択肢2は「相互援助関係」としているところが×ということなのであろう。ただ、冒頭で「グループワークにおいて、グループワーカーが活用する援助媒体」となっているので、5を選んでよいものかと悩んだ人が多かったのではないだろうか。

【正解5】

問題115 セルフヘルプグループに関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 セルフヘルプグループのメンバーは, 特定の体験を共有し, 蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し, 問題に対処する。
2 セルフヘルプグループは, 既に組織的に活動しているグループを基に形成される。
3 セルフヘルプグループは, 多様な専門性を持つ専門職による, 多職種連携の一形態である。
4 セルフヘルプグループでは, メンバー間の上下関係を活用する。
5 セルフヘルプグループヘの入退会は, グループ運営を円滑に行うために, ソーシャルワーカーがその可否を決定する。
 
セルフヘルプグループとは自助グループのことである。
1はよさそうな内容である。2であるが、既に組織的に活動しているグループでなくても構わない。本肢は×である。3は、「専門職による, 多職種連携の一形態」の部分が的外れであり、×。4は、「メンバー間の上下関係を活用する」の部分が×。5は入会の可否をソーシャルワーカーが決定するという部分が×である。
問題115で過去問の㉗‐問113を取り上げるが、本問はその問題の類題である。㉗‐問113では「自助グループ」となっている。

【正解1】

問題116 グループスーバービジョンに関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイザーがスーバーバイジーの個々人の資質や能力を比較し評価することを目的とする。
2 スーバーバイザーとスーパーパイジー間の信頼関係を,個人スーパービジョンよりも短時間のうちに構築できる。
3 スーパーバイジー同士の議論や検討により, 学習効果の高まりを期待することができる。
4 スーパーバイジ一個人が抱える課題を, 複数のスーパーバイザー間で共有することで, より適切な支援が行われる。
5 個々のスーパーバイジーが担当する事例ではなく, 一般的な模擬事例を検討に用いる。
 
スーパービジョンは頻出事項である。
①教育的機能、②支持的機能、③管理的機能の3つは必ず押さえる。その上で、個人、グループ、ライブ、ピア、セルフそれぞれの特色を押さえておけば、ほとんどの問題に対応できるであろう。
1であるが、スーパービジョンバイザーがグループ内のバイジーを比較検討するためのものではないから×。2は、グループの方が時間がかかりそうなので×ぽい。3は、グループスーパービジョン独自の効果としての内容は〇ぽい。4であるが、複数なのはバイジーの方なので×。5は、バイジーが担当する事例を使用してはいけないわけではないので、何となく違和感がある。最も適切なものはグループスーバービジョンの特色が書かれている3であろう。

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
スーパービジョンの種類
個別スーパービジョン:スーパーバイザーとスーパーバイジーが、1対1で行うスーパービジョン。スーパービジョンの原型。
グループスーパービジョン: スーパーバイザー1名と複数のスーパーバイジーで行われる スーパービジョン。
ピアスーパービジョン:スーパーバイジー同士のスーパービジョン。
ライブスーパービジョン:スーパーバイザーとスーパーバイジーが、実際の支援場面で 行うスーパービジョン。
セルフスーパービジョン:自分自身で実施するスーパービジョン。

【正解3】

問題117 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングシートには利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。
2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。
3 逐語録では,話し言業の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。
4 的確に情報を伝達することを求められるため, 文字情報で統一する。
5 グループインタビューの記録係は, 参加者の非言語的反応を含めて記録する。
 
専門用語ではあるが、一般的に分かる言葉を使った問題。ちゃんと問題文を読めば得点できるはず。
記録に関する事項も頻出問題なので、一度は、基本事項を整理しておこう。
1はモニタリングの話なので×(問97、103参照)。2は、時間の経過に沿って事実を記録することを説明体というのは変である。何体というのかがわからなくても、×ぽいと判断できればよい。3は、ワーカーの説明や解釈を加えたものは逐語録ではないから×である。4であるが、文字以外にも図表がったほうがいいって思いませんか。その方が的確に情報が伝わる場合もありますよね。×でしょう。5であるが、参加者の非言語的反応を含めて記録した方がグループインタビューにした意義がありそう。これが最も適切であろう。

【正解5】

問題118 T市役所で地域福祉計画を担当する職員であるK社会福祉士は, 次期の地域福祉計画の策定に向けて,2017年(平成29年)に改正された社会福祉法の内容を踏まえ, 策定の準備に取り組むこととなった。
次のうち, K社会福祉士が取り組む内容として, 適切なものを2つ選びなさい。

1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ, 数量化できる, 定最的な事項に限定して客観的に評価を行う。
2 地域住民, 福祉・保健・医療関係者, 市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。
3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。
4 計画に対する地域住民の意見は, 前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。
5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため,市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。
 
改正事項を知らなくても解ける問題である。
社会福祉法改正の内容は、他科目でも出題されることがある。
1は「数量化できる, 定最的な事項に限定して」が×である。地域福祉計画を作るんですから、数値化できないものも考慮しないとね。2は〇ぽい内容の記述である。3もいい感じで〇ぽい。4であるが「前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果」を基にするのでは現在のニーズが捉えられない。もちろん×である。5は、市内の社会福祉法人の意見を聞くならまだしも、策定作業を委託するのは許されないだろう。

【正解2,3】