12.保健医療サービス(H30年-第31回)

問題70 
日本の公的医療保険の給付内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 療養の給付に係る一部負担金割合は,被保険者が75 歳以上で,かつ,現役並み所得の場合には2 割となる。
2 高額療養費の自己負担限度額は,患者の年齢や所得にかかわらず,一律に同額である。
3 食事療養に要した費用については,入院時食事療養費が給付される。
4 出産育児一時金は,被保険者の出産費用の7 割が給付される。
5 傷病手当金は,被保険者が業務上のケガで労務不能となった場合に給付される。
 
選択肢5で悩んだり、間違えたりする受験生が多かったのではないだろうか。
1は「3割」なので×。2は知らなかったとしても「患者の年齢や所得にかかわらず,一律に」が×ぽい。3は〇である。4は一時金とあるように定額である。よって×。5はこれ単独だと悩む。「ケガ」だけでなく「疾病」も含まれるから×として欲しかったのであろうか。まあ3と5を比較すれば、3のほうがより適切といえる。

【正解3】

問題71 「平成27 年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,日本の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 入院と入院外を合わせた医科診療医療費の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
2 国庫と地方を合わせた公費の財源割合は,国民医療費の50 %を超えている。
3 65 歳以上の国民医療費の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
4 公費負担医療給付の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
5 人口一人当たりの国民医療費は,60 万円を超えている。
 
消去法で正解を導く問題。選択肢1と選択肢5で悩む受験生が多かったのではないだろうか。
⇒1は知らないと△。2は我が国の医療は社会保険で賄われていることを知っていれば×と判断できる。社会保険では少なくとも50%は保険料で賄われるように設計されているからである。3は65歳以上の人口が増えていることからすると悩むが70%は多過ぎる感ががある。×ぽい。4は公費負担医療給付が、特殊な疾病のものに限られることからすると(発症率が低い)、×ぽい。5は知らないと△。
最近の動向は資料室でチェックしよう

【正解1】

問題72 日本の公的医療保険の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 保険医療機関が受け取る診療報酬は,審査支払機関の立替金によって賄われる。
2 被保険者でない患者の医療費は,医療機関の立替金によって賄われる。
3 社会保険診療報酬支払基金は,保険診療の審査支払機能を担う保険者である。
4 調剤薬局は,医療保険にかかる費用の請求機関の対象外となる。
5 特定健康診査の費用は,療養の給付の対象外となる。
 
医療費に関する問題である。細かい出題なので分からなければ、わからない肢は△にして前に進もう。
1は迷ったら△。2は分かり難いが、例えば、被保険者でない人の例として生活保護を受給している人がある。この場合、医療券が発行され「現物給付」が原則であることは基本事項として知っておいて欲しい。ここに気が付けば、×だと推測できる。3の社会保険診療報酬支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法に基づき、設立された特別民間法人である。従って、「保険者である」が×。4は調剤薬局も対象なので×。調剤薬局で薬をもらう時、保険証の掲示を求められた経験があるだろう。5の「特定健康診査の費用」は、療養の給付そのものではないので、「療養の給付の対象外となる」との結論は〇である。

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特定健康診査(とは、通称「特定健診」と呼ばれる、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目した健診で、国から保険者に義務付けられた検診制度です。
この健診は40歳以上75歳未満の公的医療保険加入者と家族が対象です。
※メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖・脂質異常・高血圧など軽度でも生活習慣病のリスクが重なっている状態のことで、放っておくと動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中、糖尿病等の合併症を引き起こす要因となると言われています。

【正解5】

問題73 診療報酬に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 診療報酬の点数は,通常2 年に一度改定される。
2 診療報酬の改定率は,中央社会保険医療協議会が決定する。
3 DPC/PDPSは,分類ごとに月ごとの入院費用を定めている。
4 診療報酬点数には,医科,歯科,看護報酬が設けられている。
5 外来診療報酬については, 1 日当たり包括払い制度がとられている。
 
診療報酬に関する問題である。正解して欲しい問題である。
⇒1が〇である。これは知っていて欲しい。※なお、介護報酬の点数は、通常3年に一度改定される。後は確認のために読む。2は厚生労働大臣なので×。3は1日毎なので×。4は薬価が抜けているので×(。問題72-肢4参照)。5は×である。

【正解1】

問題74 へき地医療に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 へき地保健医療対策事業は,一次医療圏単位で実施している。
2 へき地保健指導所では,保健師が訪問看護指示書の作成ができる。
3 全国の無医地区数を近年の年次推移でみると,増加し続けている。
4 へき地医療拠点病院では,遠隔医療等の各種診療支援を実施している。
5 へき地医療拠点病院の指定要件には,薬剤師の派遣が含まれている。
 
嫌な問題である。知らなければ選択肢を読んで、推論で解くしかない。
1は、一次医療券圏の範囲が狭いことからすると×ぽい。2は訪問看護師指示書は「医師」が作成するので×。3は知らないと△。ただ、医師の増加、国策として無医地区数の減少を考慮すると×ぽい。4はよさそうな内容である。これが〇かな。5は知らないと△。

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へき地医療拠点病院の目的、事業内容等については「へき地保健医療対策等実施要綱」(平成30年3月29日医政発0329第12号医政局長通知)により、へき地医療拠点病院は、へき地医療支援機構の指導・調整の下に次に掲げる事業を行うものとすると定められている。

ア 巡回診療等によるへき地住民の医療確保に関すること。
イ へき地診療所等への代診医等の派遣(継続的な医師派遣も含む)及び技術指導、援助に関すること。
ウ 特例措置許可病院への医師の派遣に関すること。
エ 派遣医師等の確保に関すること。
オ へき地の医療従事者に対する研修及び研究施設の提供に関すること。
カ 遠隔医療等の各種診療支援に関すること。
キ 総合的な診療能力を有し、プライマリ・ケアを実践できる医師の育成に関すること。
ク その他都道府県及び市町村がへき地における医療確保のため実施する事業に対する協力に関すること。
ア、イ又はカのいずれかの事業は必須。

【正解4】

問題75 医療関係職種の業務に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 理学療法士の業務の範囲に,電気刺激,マッサージなどの物理的手段は含まれない。
2 作業療法士の業務の範囲に,両眼視機能の回復のための矯正訓練は含まれない。
3 言語聴覚士の業務の範囲に,人工内耳の調整は含まれない。
4 臨床工学技士の業務の範囲に,生命維持管理装置の操作は含まれない。
5 義肢装具士の業務の範囲に,手術直後の患部の採型は含まれない。
 
各職種のイメージからもっとも遠いものを見つけ出す問題である。作成者の工夫が感じられる問題である。慌てずにきちんと読んで判断することが大切である。
1はPTの業務に含まれていそう。2はOTの業務に「両眼視機能の回復のための矯正訓練」は含まれていないと思われるので、これが〇ぽい(※視能訓練士が担う役割であろう)。3の「人工内耳の調整」はSTが担っていそう。×ぽい。4と5も同様な発想で考えて×であろう。
語尾がいずれも「含まれない」となっていることにも着目する。

【正解2】

問題76 事例を読んで,A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)によるBさんへの対応として,この段階において最も適切なものを1 つ選びなさい。
〔事 例〕
日雇の仕事をしながら路上生活をしていたBさん(55 歳)は,胃痛と吐血があったが,医療保険に加入しておらず医療機関を受診していなかった。吐血して路上で倒れているところを発見され,救急搬送されてきた。受診と検査の結果,担当医師から胃がんであることが本人に告げられた。Bさんは医療費の支払ができないので,このまま放っておいてくれと言い続けるだけであった。看護師が説得を試みたが本人の意向は変わらず,担当医師からA医療ソーシャルワーカーに電話が入った。
 
1 公共職業安定所(ハローワーク)を紹介し,日雇就労の継続を相談するように促す。
2 治療をしなかった場合の身体的リスクを医師に代わって説明する。
3 Bさんの治療拒否の意向が尊重されるように,医師や看護師を説得する。
4 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を検討する。
5 生活保護の医療扶助の説明を行い,申請手続を促す。
 
問われているのは、「A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)によるBさんへの対応」である。
1は違う感じがする。×であろう。2のような説明は医師が行うべきことであり、×である。3の「説得」はまず×であろう。4はACPを知らなければ△。5は医療を受けることを拒否しているBさんの意向を無視している気もするが、Bが医療を拒否する理由は「医療費の支払ができない」ことにある。とすれば、「生活保護の医療扶助の説明を行い,申請手続を促す」ことは適切ともいえる。4か5で答えがわれたと思われる。

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ACP(Advance Care Planning)とは・・・
患者さん本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うこと。加えて、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスのことである。

【正解5】