10.障害者に対する支援と障害者自立支援制度(R元年-第32回)

問題56 「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における障害児・者の実態に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 身体障害者手帳を所持している身体障害児(0~17歳)では, 内部障害が最も多い。
2 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している者は半数を超えている。
3 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「今後の暮らしの希望」をみると,「施設で暮らしたい」が最も多い。
4 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「困った時の相談相手」をみると, 家族が最も多い。
5 「障害者手帳所持者等」(65歳未満)で,「外出の状況」をみると,「1ヶ月に1~2日程度」が最も多い。
(注)1 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
2 「障害者手帳所持者等」とは, 障害者手帳所持者及び障害者手帳非所持でかつ「障害者総合支援法」に基づく自立支援給付等を受けている者のことである。
 
知らなければ推測する。2か4で答えが割れたと思われる。
この類も設問は、ドンピシャで正解することは難しい。トレンドを知り、関連問題が出た時に推論で正解できるスキルを身に付けておこう。
1は、身体障害児(0~17歳)の年齢層であれば、内部障害が最も多いとは考えにくい。×ぽい。2は、身体障害児(0~17歳)であれば大なり小なり「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスを利用している可能性はある。ただ、過半数を超えているかどうかは、知らないと自信をもって回答できない。△にして次に進む。3は、65歳未満であれば(特に若ければ若いほど)、施設で暮らしたい人は少ないと思われる。×ぽい。4であるが、困ったときの相談相手として家族は真っ先に浮かぶ。ただ、家族が最も多いのかは知らないと自信をもって回答できない。△にして次に進む。5の外出状況であるが、65歳未満で「1ヶ月に1~2日程度」は少なすぎるだろう。手帳所持者といっても一人で外出できる人もいるのだし。×ぽい。

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
障害者総合支援法の福祉サービス利用状況
障害者手帳所持者のうち、障害者総合支援法の福祉サービスを利用している者の割合は、65歳未満では32.1%65歳以上では19.8%となっている。

【正解4】

問題57 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1960年(昭和35年)に成立した精神薄弱者福祉法は, ノーマライゼーションを法の理念とし,脱施設化を推進した。
2 1981年(昭和56年)の国際障害者年で主題として掲げられたのは, 合理的配慮であった。
3 1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され, 保護者制度が廃止された。
4 2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では,障害者を医学モデルに基づいて定義している。
5 2018年(平成30年)に閣議決定された障害者基本計画(第4次)では, 命の重さは障害によって変わることはないという価値観を社会全体で共有できる共生社会の実現に寄与することが期待されている。
(注) 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
 
基本的知識と時代背景を思い浮かべながら解く。
1は、1960年(昭和35年)という時代を考慮すると、到底考えられない内容である。×であろう。2の合理的配慮は、最近(2013年公布)の話なので、×である。3の保護者制度の廃止は2000年以降の話である。×である(精神保健福祉士試験では必須の知識といえる)。4は、2013年にできた「障害者差別解消法」が医学モデルに基づいているとは到底考えられない。×である。5は、内容的には問題がない。これが2018年に閣議決定された障害者基本計画(第4次)に記されているのかは知識がないとわかりづらいが、1から4までが×だと判断できれば、消去法で5を選べる。  
合理的配慮が障害者差別解消法の重要ワードであることを覚えていれば、肢4の記述もヒントになる。

【正解5】

問題58 事例を読んで, Gさんが利用できる「障害者総合支援法」に基づく障害福祉ザービスとして, 適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Gさん(22歳男性)は20歳の時に脊髄損傷を患い, 現在, 電動車いすを使用しながら親元で暮らしている。これまで家族から介護を受けて生活をしてきたが, 親元を離れ, 日中は創作活動などを行いながら自立生活をしていきたいと希望している。一般就労はしておらず, 障害支援区分は5 で, 電動車いすを使って移動が可能だが, 手足に麻痺(まひ)がある。「歩行」,「移乗」,「排尿」,「排便」のいずれも見守りや部分的又は全面的な支援を必要としている。
1 重度訪問介護
2 行動援護
3 生活介護
4 同行援護
5 就労定着支援
 
Gさんの状態を把握した上で、選択肢を読む。
1の重度訪問介護の利用はGさんの状態から十分に考えられる。〇ぽい。2の行動援護は発達障害のある人が利用するサービスであり、Gさんには適しないので×である。3の生活介護の利用はGさんの状態から十分に考えられる。〇ぽい。4の同行援護は視覚障害のある人が利用するものだから、Gさんには適しないので×。5の就労定着支援もGさんに適切なものといえないことは明らかである。×であろう。以上から1と3を選ぶ。
㉘-問59によく似た問題がある。㉛-問58、㉙‐問題56、㉗‐問57でも関連するサービスが出題されている。
 

【正解1,3】

問題59 「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を, 指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため, 協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。
 
難問である。また、推論も難しそう。さっさと飛ばすのも一つの手。
正確な知識がなかった場合、その機能を「介護保険」に置き換えて考えてみるとヒントが掴みやすい。
1は、市町村は障害支援区分の認定調査を指定一般相談支援事業者等に委託できるという内容の肢である。介護保険ではこれが認められているので、障害者総合支援法でも同じである可能性は十分にある。〇ぽいが、知らなければ△にして次に進む。2のような認定に関する審査判定業務は都道府県が行うと考えるのが素直であろう(介護保険であれば介護保険審査会のような機関である)。×ぽい。3の市町村障害福祉計画の策定は義務なので、本肢は×である。福祉行財政と福祉計画で学んだ事項を思い出そう。4の指定障害福祉サービス事業者の指定は都道府県の役割と考えるべきであろう(介護保険では一般のサービスはそのようになっている)。5のような特に専門性の高い機関は、市町村よりももう少し広い範囲で作るべきだろう。正確に覚えていなくても、本肢は×かなと推測できる。

【正解1】

 

問題60 発達障害者支援法の規定に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は, 個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保・就労定着のための支援に努めなければならない。
2都道府県は, 支援体制の課題を共有するとともに, 関係者の連携の緊密化を図るため, 発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。
3 発達障害者とは, 発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
4 都道府県知事は, 発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。
5 都道府県知事は, 該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。
 
介護保険と違って、障害は法律が多くて大変である。さあ、もうひと頑張り。 
本問は答えが割れたと思われる。
1は、義務の内容には問題がない。ただ、それが努力義務なのかは知らないと判断しづらい。△にして次に進む。2は、都道府県と発達障害者支援地域協議会とかかみあわない感じがする。×ぽい。3は〇だが(同法2条2項)、条文の規定を知らないと悩む。特に「社会的障壁により~制限を受ける」という部分がひっかかる人もいるのではないだろうか。4は、発達障害者支援センターがあるので、そちらに任せると思われるので×ぽい(同法14条)。5は×だが、これを選んだ人も多かったのではないだろうか。精神障害者保健福祉手帳を交付するのは都道府県知事の役目だが、申請がなければ交付されない。

【正解3】

問題61 障害者基本法に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では, 障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は, 都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は, 重度の障害者について, 終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において, 社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として, 障害者が明記されている。
 
わからないものもあるかもしれないが、ざっと読んで肢を絞っていく。 
1はどうか。自立への努力は大切だが、障害者自身にそのことを努力するように規定するものであろうか。×ぽいが自信がなければ△にして次に進む。2都道府県障害者計画は策定義務があるので×である。福祉行財政と福祉計画で学ぶ基本事項である。3は努力義務に留めるところに疑問を感じる。これは国の義務ではないかと感じるからである。個別の条文を知らなくても憲法25条からそのように推測するのが素直ではないだろうか。4の社会的障壁については社会における慣行や観念も考慮されると考えるべきだろう。×ぽい。5はどうか。法に障害者政策委員会の規定があるならば、その委員に当事者代表として障害者が明記されていてもおかしくはない。1と5まで絞れていたら、疑義の残る1よりも5を選ぶのが素直であろう。

【正解5】

問題62 医療観察制度に関する次の記述のうち, 最も道切なものを1つ選びなさい。
1 対象者は, 起訴された者に限られており, 起訴されていない者は含まれない。
2 保護観察所には, 対象者の社会復帰を支援する, 精神保健福祉士等の専門家である社会復帰調整官が配置されている。
3 「医療観察法」の目的は, 精神障害者の医療及び保護を行い. その自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い, 精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることである。
4 入院による医療の決定を受けた者に対しては, 指定入院医療機関で, 専門的な医療の提供が行われるとともに保健所による退院後の生活環境の調整が実施される。
5 通院による医療の決定を受けた者及び退院を許可された者は, 処遇の実施計画に基づいて, 期間の定めなく, 地域の指定医療機関による医療を受ける。
(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
 
選択肢のすべての内容を正確に把握していた人は少なかったと思われる。
出題範囲としては、更生保護制度に属する領域である。
1は起訴されていない者も含まれるので×である。医療観察制度は、心神喪失又は心神耗弱の状態で(精神の障害のために善悪の区別がつかないなど,通常の刑事責任を問えない状態のことをいいます。),殺人,放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進することを目的とした処遇制度である。この趣旨が分かっていれば、起訴されているか否かは必須の要件ではないと推測できるであろう。2は適切な内容である。3は何となくよさそうだが、この制度の趣旨から考えると「精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上」が目的とは考えにくいであろう。その目的は、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上にある。×ぽい。退院後の生活環境の調整を行うのは保健所ではないから×である。5は「期間の定めなく」がひっかかる。
積極法で2を選ばべるとよいが、それが難しい場合には1と2まで絞ってから再検討するとよい。制度の目的から考えて、1が×であることは推論可能である。

【正解2】