第21回 精神疾患とその治療 2/2

問題6 次のうち,てんかんの診断に最も有用な検査として,正しいものを1 つ選びなさい。
1 脳波検査
2 頭部CT
3 SPECT(脳血流シンチグラフィ)
4 脳脊髄液検査
5 頭部MRI

知らないと正解を出すことは難しい問題である。
てんかんの診断に最も有用な検査は1の脳波検査である。疾患の診断は、治療と実験の積み重ねの上にあるといえる。てんかんの診断に脳波検査が有効であるという結論を覚えるためには、その理由を一度は調べてみるとよいと思う。

【正解1】

<知識のワンアップ>
脳波は脳の神経細胞が出すわずかな電流ですが、それを記録することで脳の異常を診断することができます。正常な時の脳波は小さなさざ波のような波が記録されますが、発作が起こる時にはいくつかの神経細胞が同時に電気を出すために大きな電流が流れ、棘(とげ)のようにとがった波(棘波:きょくは)や、やや幅の広い大きなとがった波(鋭波:えいは)などがあらわれます。このような通常とは違った波のうち、てんかん発作に関係する波を「発作波」と呼びます。

問題7 次のうち,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用でみられることが多いものを2 つ選びなさい。
1 運動失調
2 体重減少
3 消化性潰瘍
4 眠気
5 嘔(おう)気(き)

知らないと正解を導くことは難しいであろう。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用は、4の眠気と5の嘔気である。

【正解4,5】

<知識のワンアップ>
旧来の三環系などと呼ばれる抗うつ薬は副作用があり、医者または患者によっては敬遠されていたことから、副作用を少なく・より選択的に作用することを目的として開発されたのが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。肝毒性、心・血管副作用や、鎮静作用、口の渇き・便秘など抗コリン作用が原因と思われる副作用は減少したが、セロトニン症候群、賦活症候群、SSRI離脱症候群(中断症候群)など旧来の抗うつ剤ではあまり報告のなかった副作用が発生している。

問題8 修正型電気けいれん療法に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。
1 施行前の飲食の制限は不要である。
2 てんかんの主たる治療法である。
3 妊娠中の女性にも行うことができる。
4 副作用を減らすために,サイン波電流を用いる。
5 麻酔科医との連携が必要である。

→修正型電気けいれん療法は、全身麻酔によって完全に眠っている間に、麻酔科医と協力して、精神科医と看護師らによって施行するので、1は×である。この治療法を用いる主な疾患は、統合失調症と気分障害(うつ病、反復性うつ病性障害)である。よって、2は×である。この方法は、妊娠中の女性にも適用が考慮されることがあるので3は〇である(それだけ副作用が小さいともいえる)。かつてはサイン波電流が用いられていたが、副作用を減らすために現在では短パルス矩形波(くけいは)が用いられている。よって、4は×である。全身麻酔をして行うので、5は〇となる。

【補足】過去問⑯-3に関連する問題がある。
どのような治療法なのか、どのような疾患に有効なのか程度の知識は必要である。完全な知識がなくても、全身麻酔によって完全に眠っている間に行うことを知っていれば、1が×で、5は〇ということは推測できる。また、どのような疾患に有効なのかを知っていれば、2が×であることもわかる。ただ、3と4のいずれが正しいかは知識がないと判断しづらい。

【正解3,5】

問題9 次のうち,統合失調症の非薬物的治療法として,最も用いられているものを1 つ選びなさい。
1 理学療法
2 作業療法
3 内観療法
4 曝露(ばくろ)療法
5 精神分析療法

統合失調症の非薬物的治療法として,最も用いられているものは2の作業療法である。仮にそのような知識がなくても消去法で同じ結論を得た人もいたであろう。

【補足】1と3が×であることはわかりやすい。4や5は心の奥底に入っていくような療法であるが、こうした療法は神経症に用いられる場合が多いというイメージを持っている人が多いのではないだろうか。仮に本問の知識がなかったとしても、4と5は×ではないかと考えて、消去法で2を選んだ人もいたと思われる。

【正解2】

問題10 厚生労働省による「平成26 年患者調査」及び「平成26 年病院報告」の結果にみられる特徴として,正しいものを1 つ選びなさい。
1 精神疾患を有する総患者数は約100 万人である。
2 精神疾患を有する総患者数のうち,最も多いのは統合失調症である。
3 精神病床数は約34 万床である。
4 精神病床における入院患者数で,最近10 年間の認知症(アルツハイマー病)は横ばいである。
5 精神病床における平均在院日数は1 年を超えている。

1は少なすぎる×。2は、総患者数で最も多いのは気分障害(100万人超)なので×。3は〇ぽい。4は、高齢化が進んでいるのだから「横ばい」というのはおかしいと気づける。×ぽい。5の平均在院日数は1年未満なので×。

【補足】統計に関する問題であるが、大まかな数字は過去問でも問われているし、代表的な参考書には掲載されている。2は「総患者数のうち」となっていて「入院患者数のうち」となっていないことに注意する。迷うとしたら3か5であろうが、入院期間の短縮という点から考えて、5は×だと気づいて欲しい。ちなみに平成26年患者調査における平均在院日数は291.9日となっている(もっとも、統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害は561.1日となっているので、疾患によって1年を超えているものもある)。
このタイプの問題を復習するときは、最新のものだけでもよいので一度は目を通しておいて欲しい。

【正解3】