第1回 ノーマライゼーション

「新型コロナウィルス感染症と戦う全ての人応援ブログ
~対人援助って何だ?~」(ブログ番外編

2020年4月16日夜、政府の新型コロナウィルス感染症対策本部で、本部長である安倍総理は「7日に発令した緊急事態宣言の対象地域を、これまでの7都道府県から全国に拡大する」と表明しました。これにより、日本全国全ての都道府県で、外出自粛要請等の措置が可能になります。
 
つまり、実施期間である5月6日まで、私たちは活動自粛が求められる生活を送ることになりました。
多くの時間を自宅で過ごす可能性がありますので、この機会に、福祉を学んでみては如何でしょうか?
 
これまで、福祉勉強会では、福祉専門職国家試験に挑戦する人を対象に、「受験対策応援ブログ~合格への道~」を通じて、福祉の学びを提供してきました。
この知見を活かし、緊急事態宣言の実施期間中には、応援ブログ番外編として、新型コロナウィルス感染症と戦う全ての人応援ブログ~対人援助って何だ?~」と題し、ソーシャルワーク実践の場で活用されている「対人援助の知識と技術」について、皆さんに、分かりやすくご紹介してみたいと思います。
 

第1回目は「ノーマライゼーション」について、ご紹介しましょう。

 
ノーマライゼーションは、福祉専門職および福祉職を志す者にとって、最重要ワードの一つです。対人援助従事者が、最初に身に付けるべき知識の一つと言えるでしょう。
 
ノーマライゼーション(normalization)は、もともと「正規化」「正常化」「標準化」という意味を持っています。
福祉の分野では、「誰もが当たり前に生きられる社会の実現」などと解され、障がいの有無や性別、年齢の違いなどによって、分け隔てられることのない社会を目指す「福祉の基本理念」と捉えられています。
 
最初に、ノーマライゼーションが法律に記されたのは、1959年にデンマークで成立した知的障害者法だと言われています。
※受験勉強としては、この法律の制定に多大なる貢献をした人物として、ニルス・エリク・バンク=ミケルセン(N.E・バンク=ミケルセン)という人が登場します。
バンクミケルセンの功績は、当時一般的だった、社会的弱者を「保護」の対象と捉え、社会から「隔離」するという福祉活動に疑問を投げかけ、(存在)価値の平等と(生活における)権利の平等を提唱したことにあります。この背景には、保護という名の人権侵害が行われ、知的障害者が非人道的な扱いをされていた現実があったとされています。
その後、ノーマライゼーションは、スウェーデン人のベンクト・ニィリエによって整理され、定義づけられることになります。
※受験生は、ニィリエがまとめたノーマライゼーション8つの原理等を学び、理解を深めていきます。
ニィリエの活動によって、ノーマライゼーションはアメリカで知れ渡り、広く世界に認知されていきます。日本では、国連が1981年に制定した「国際障害者年」をきっかけに、知られるようになったと言われていますが、1970年4月に成立している障害者基本法では、既に、ノーマライゼーションの理念が盛り込まれている形跡が見られます。
※保育士試験の頻出問題である知的障害児・孤児収容施設「近江学園」(1946年)の創設者である、糸賀一雄の残した「この子らを世の光に」は、後に、日本版ノーマライゼーションの発祥だとも言われています。
 
いずれにせよ、現代社会においては、ノーマライゼーションが、日本はもとより、全世界で「生活の基盤となる社会システムや福祉の充実などを整備していく際の考え方」すなわち、福祉の基本原理として定着していると言えます。
最近ではすっかり身近になった、バリアフリーやユニバーサルデザインを採用した街作りも、健常児と障害児が、共に学ぶインクルージョン教育の導入も、全て、ノーマライゼーションの理念に基づいて実行された施策と言えます。
 

ここで、ノーマライゼーションを理解する上での、ワン🐾ポイント!
◆ノーマライゼーションは、全ての人の「存在価値と生活者としての権利の平等」を提唱している。
◆ノーマライゼーションは、人が正常化するのではなく、社会が正常化されることを意味している。
◆ノーマライゼーションは、社会的弱者を保護・隔離の対象とするのではなく、生活者たる社会の一員として存在する為の支援対象者と捉えている。
◆ノーマライゼーションは、自分で判断し、自分で決めるという自己決定意思決定を尊重している。

 
さて、ここまでで簡単ではありますが、ノーマライゼーションの考え方、そして、現在の国際社会における福祉施策がノーマライゼーションを基本原理として組み立てられていることが、分かって頂けたと思います。
 
ノーマライゼーションの広がりの歴史は、過去、いわれのない差別意識によって、人権侵害にも通じるような日常に耐えざるを得なかった人々を、その理不尽さから解放する手段の一つとして、福祉が活用されていたことを私たちに教えてくれます。
 
こうして、福祉を学んでみると、今、国民一丸となって取り組んでいる、新型コロナウィルス感染症対策もまた、元来、私たちが目指していた「ノーマライゼーション」の実現に、繋がっていくものにしなければならないと気付きます。
 
もしも、活動自粛という制約の時間に加え、先の見えない不安からストレスを感じているなら。
もしも、お子さんを世話する時間や親の介護をする時間が増えたことで、イライラが募ってしまっているなら。
あなたの日常に、ノーマライゼーションという考え方を取り入れてみては如何でしょうか?
本ブログでは、伝えきれていない奥深さが、たった一言の言葉に、まだまだ沢山含まれています。
歴史的背景と併せて、深く知っていけば、あなたの生活は、今よりも少し楽しくなるかもしれませんよ。
 
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